仮想通貨のマイニングで稼いだら、所得を計算して税金を納付しなければいけません。
マイニングのためにかかった電気代は、確定申告の所得計算時に、必要経費として収入から差し引くことができます。
自宅でマイニングを行っているような場合、電気料金の請求は自宅全体にかかった電気代として請求されるので、マイニングだけにかかった電気料金を請求書から把握することは出来ません。
だからといって、マイニングのためだけに、別途電気の契約をするのは、お金もかかるし工事も必要になるので、非現実的。
必要経費である電気の使用量は、どのように把握すれば良いでしょうか?
使用電力量の把握のしかたと、料金計算の方法をご紹介します。
電力量計
マイニングのために使用した電気代は、電力量計を使う事で把握することができます。
個人事業主などの場合は、自宅と事業で使用した電気代を、何らかの基準(例えば床面積の割合)で按分して経費にしていると思います。
しかし、マイニングは電気の消費量が多いので、実際の使用量を計測しないと、必要経費として計上し損なってしまうことが考えられます。
このページではコンセントに挿して手軽に使える「簡易電力量計」と、子メーターとして本格的に使える「積算電力量計」をご紹介します。
簡易電力量計
簡易電力量計は、数多くの種類が販売されており、私も幾つか持っています。
量販店などで入手することができ、コンセントに挿して手軽に使える物なので、電気工事は不要です。
積算電力量計とは異なり、計測数値をリセットして0から計測することができます。
あらかじめ1kWhあたりの金額を設定しておくことで、電気料金の概算を表示してくれる物もあります。
上の簡易電力量計の画像のうち、真ん中と右の2つは、コンセントから抜いたり停電により、計測した値がリセットされてしまいます。(真ん中の物は、買ってすぐに内部の電池がダメになり、消えるようになりました)
このように簡易電力量計は、停電すると計測データが消えてしまう物があるので注意が必要です。
一番左のTAP-TST7は停電しても記録が残り、比較的性能が良かったのですが、廃盤になっているので、その後継品をご紹介します。
サンワサプライの TAP-TST8N は、記録数値をリセットする際には、計測器をコンセントから抜いて、2つのボタンを同時に3秒以上押し続ける操作をしないと消えないので、計測データが消えてしまうリスクは少ないと思います。
ただし簡易型なので計測誤差があります。例えば TAP-TST8N の場合は、最大2%±5Wですので、1000Wの電力を消費し続けていたとすると、最大で±25Wの誤差です。
もしも25W少なく計測されていた場合、1年間で219kWh少ないことになってしまいます。金額にすると、1kWhあたり30円で計算すると、約6,500円を経費にし損なうことになります。
この誤差を、多いと見るか、少ないと見るか..。
積算電力量計
電力会社のメーター配下の回路に、子メーターとして取付けして、使用電力量の把握をする為に使われる物です。
取引・証明に使用する専用の計測器なので、検定に合格した物であれば、計測数値は正確です。
使用電力量はリセットすることが出来ず、常に数字は加算されて表示されていきますので、使用した電力量は漏れなく正確に把握することが出来ます。
電気工事が必要な商品で、専門の取扱店から入手することが可能です。
マイニングは、大きな電力を24時間流しっぱなしにするため、簡易電力量計では不安でしたので、私はこちらの積算電力量計を使っています。
私が買った物は、100V 15A 以上を条件に選んだ中で一番安価だった、三菱電機製のこちらの商品。
建物の壁の中の配線を変更する場合は、電気工事士の資格が必要です。
壁コンセントの後(室内側)への接続であれば、軽微な工事になるのではと思いますが(※確認していないので不正確な情報です)、電気の知識が無い方が作業すると、施工や電線の選定ミス等で感電や火災の危険がありますので、電気工事店に依頼することをオススメします。
商品の詳細情報は、三菱電機のこちらのページに掲載されています。
オプションモジュールの M2PM-MMA を装着すると、モバイル端末で検針でき、csv形式のデータを使ってExcel等で利用できるみたいです。
電気料金の計算のしかた
基礎知識
一般的な電気料金は、
1時間あたりの消費電力(kW) × 使用時間 × 料金単価
で求められます。
それでは、分解しながら具体的に見ていきましょう。
まず初めに、電気料金の計算方法を理解するには、
「kWh(キロワットアワー)」という単位を理解しておく必要があります。
1kWh とは、1時間あたりの消費電力(kW) × 使用時間
で、電力量計や電気会社からの請求書にも記載されている単位です。
「kWh」という単位は何を意味するか、具体的に数字を入れて見ていきましょう!
消費電力1000Wのリグを1時間動かしたとしましょう。
1000W × 1時間 = 1000Wh = 1kWh
となります。
消費電力1000Wのリグを1日(24時間)動かしたとしましょう。
1000W × 24時間 = 24000Wh = 24kWh
となります。
因みに、kWhの「k(キロ)」はSI接頭辞で、簡単に言うと「0」を3個省略する記号です。
電気料金計算の基本は[kWh×料金単価]
電気料金の計算方法の基本は、
使用電力量(kWh) × 料金単価 = 電力量料金
です。
電力会社や料金プランにより、使用電力量毎に異なる料金単価が設定されています。
実際の計算例
計算例として東京電力エナジーパートナーの従量電灯B・Cで契約していた場合を取り上げてみます。
マイニングに使用していない時でも、1ヶ月の電気料金が300kWhを超えていた場合で、マイニングに使用した電力量が576kWh(800W×24時間×30日で計算)だったと仮定します。
「使用電力量が300kWhを超過する場合」は、1kWhあたり30.57円で、再生可能エネルギー発電促進賦課金単価が3.36円/kWhなので、
576kWh × (30.57円+3.36円)= 19,543.68円
となります。
この他に基本料金がかかっているので、所得を得るために必要な経費と考えて、基本料金を使用電力量の割合で按分して算出した金額を経費にするのも有りだと私は思います。
基本料金 ×( 576kWh ÷ 1ヶ月の総使用電力量(kWh))
まとめ
マイニングに使用した電力量の把握は、税務申告対策が第一の目的になると思います。
ザックリとした数字を使って計算しても確定申告は出来てしまいますが、もしも税務調査が入った場合に備えて、計算の根拠を明確に残しておくことが大切です。
そのためには、「簡易型電力量計」の場合は、リセットが出来てしまうので、写真を撮って画像でも残しておく方が安全かもしれません。
税務署対策を考えた場合は、測定数値も正確でリセットの出来ない「積算電力量計」の方が望ましいでしょう。
「簡易電力量計」と「積算電力量計」のポイントをまとめます。
●簡易電力量計のポイント
- 電気工事が不要
- 計測した値をリセットできるので、誤って消してしまう可能性がある
- 毎月リセットした場合、端数は切り捨てられてしまう
- 料金設定をすることで、概算の電気料金が表示できる
- 100V、15A以内の物が殆ど
- 安価だが、計測値は若干不正確
●積算電力量計のポイント
- 電気工事が必要
- 計測した値は積算方式で、リセットはできない
- 100Vまたは200Vで、15A以上の計測
- 電気料金の取引を目的に作られた物(検定付き)なので、正確に計測ができる
私は電化上手というプランなので、朝・昼・夜間の時間帯で、電気料金が異なるプランで契約しているのですが、積算電力量計が時間帯別で把握出来ない物なので、もっと複雑な計算により電気料金を算出しています。
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