合同会社の設立は、必要書類を準備して登記を行うだけで、誰でも比較的簡単に行うことができます。株式会社と比べて手続きがシンプルで、登録免許税も6万円と安く、自分で手続きをすれば最低限のコストで済みます。
当サイトでは、「社員は1人だけ」「出資は現金のみ」というシンプルなケースを想定し、「できるだけ自分でやりたい」「専門家に頼らずに費用を抑えたい」という方に向けて、合同会社を自分で設立するための手順をできるだけ分かりやすく具体的に解説しています。書類を作成する前にあらかじめ準備をしておくことで、設立手続きが格段にスムーズになります。
あわせて、設立に向けて最初にやるべき「会社の概要を決める準備」について、筆者の体験談も交えながら紹介していきます。
「できるだけ自分でやりたい」「専門家に頼らずに費用を抑えたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
事業目的を決める

事業目的とは、「この会社が何をするのか」を明確にするためのものです。定款や登記事項として正式に記載されます。
原則として、会社は定款に記載された目的の範囲内でのみ活動できます。
ただし、定款の末尾に「前各号に付帯するまたは関連する一切の事業」といった文言を加えておくことで、各事業に関連する周辺業務も含めることができます。
そのため、あまり細かく厳密に書きすぎなくても、ある程度の柔軟性を持たせることが可能です。
記載の際は、以下の4つの要件を満たす必要があります。
- 公序良俗に反していない(適法性)
- 内容が明確である(明確性)
- 具体的である(具体性)
- 営利性がある
事業目的を設定する際の注意点
将来的に行う可能性のある事業も含めて複数記載しておくことは可能ですが、あまりにも多くの目的を記載すると、銀行口座開設などの審査において「事業内容が曖昧」とみなされる可能性があります。
また、許認可が必要な事業を行う場合には、定款の事業目的に必要な文言が含まれていないと、許認可の申請が受理されない可能性があります。該当する場合は、事前に管轄官庁のホームページや申請手引きなどを確認して、適切な表現が含まれているかを確認しておくと安心です。
- 筆者の体験談:事業目的が多すぎたかもしれない話
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筆者は、将来の追加費用を避けるため、実際に行う可能性が低い事業も含めて10種類以上の目的を定款に記載しました。
そのためかは不明ですが、ネット上では比較的審査が緩いとされていた楽天銀行や住信SBIネット銀行では、口座開設を断られました(理由は非公開)。一方、三菱UFJ銀行では事業内容について詳しく聞かれ、資料の提示も求められましたが、個人での取引実績があったこともあり、無事に口座開設できました。
この経験から、事業目的が多すぎると審査に影響する可能性があると感じています。
必要な事業に絞り、後から追加するのがオススメです。
事業目的の書き方に迷ったら?
実際にどのような文言で記載すればよいのか分からない場合には、以下のような事業目的の事例集サイトを参考にすると便利です。
これらを参考に、自社の実態や将来の展望に合った内容に落とし込んでいくとよいでしょう。
また、不要な目的を削除・追加するには定款の変更と登記手続きが必要となるため、「将来的に行う可能性があるかどうか」も一つの判断基準になります。
会社名(商号)を決める

商号(会社名)は、法人の正式な名称のことです。
事業のイメージや信頼性に直結する大切な要素であり、名刺やWebサイト、請求書など、さまざまな場面で目に触れます。
そのため、わかりやすく、覚えやすい名前を選ぶことが大切です。
商号は、原則として自由に決めることができます。
ただし、使用できない表現や、登記上のルールもいくつか定められています。
以下では、商号を決める際に知っておきたい基本的なルールと注意点をご紹介します。
商号に必ず含める文字
商号(会社名)には、必ず「合同会社」という文字を含める必要があります。これは会社法で定められたルールであり、どのような名前をつける場合でも例外はありません。
- ○○○合同会社
- 合同会社○○○
「合同会社」という文字は、社名の前後どちらに置いても構いません。
使用できない商号・登記できないパターン
商号は、登記の際に条件を満たしていないと受理されません。
単独で「合同会社」だけを使うことや、「LLC」のみを使うことはできません。
以下に、注意すべき商号の例をまとめました。
- 「合同会社」や「LLC」だけ
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- ○○LLC (「○○LLC合同会社」であれば可)
- 合同会社 (「合同会社」のみの商号は不可)
- 同一所在地に、同一の商号がすでにある場合
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特にオフィスビルやシェアオフィスなどでは、すでに他社が同じ会社名で登記していることがあります。事前の商号調査が安心です。
- 「支店」や「営業部」など、会社の一部門を表す語句を含む場合
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- 合同会社〇〇大阪支店 (支店であることを示す語句)
- 合同会社〇〇営業部 (会社の一部門を示す語句)
など、法人の本体ではなく部門や支店を示すため、登記は認められません。
- 「銀行」「信託」「保険」「証券」など、法律で特定の業種にしか使用が認められていない語句
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これらの業種名は、該当業種の免許や許可を得ていなければ使用できません。
- 公序良俗に反する名称
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反社会的・差別的・不適切とされる表現を含む商号は認められません。
- 他の有名企業と誤認されるおそれのある名称
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例:「アップル株式会社」や「任天堂合同会社」など
有名企業の名称と紛らわしい商号は、商標権侵害や登記拒否の対象となる可能性があります。
使用できる文字と記号
商号で使える文字と記号は以下のとおりです。
ひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字(大文字・小文字)、アラビア数字
以下は、語句を区切る用途に限り使用することができます。
- 「&」(アンド)
- 「’」(アポストロフィ)
- 「,」(カンマ)
- 「‐」(ハイフン)
- 「.」(ピリオド)
- 「・」(中点)
空白(スペース)の扱い
- ローマ字で複数単語を使う場合のみ、単語の区切りにスペースを入れることができます
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例:Good Life 合同会社
商号調査をしておくと安心
同じ商号・同じ所在地の会社がすでに存在する場合、登記は認められません。(商業登記法第27条)
オフィスビルやシェアオフィスなどに登記する予定がある場合には、事前に商号の重複がないか確認しておくと安心です。
以下の方法で調査が可能です。
- 法務局窓口で確認
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登記官に相談すれば、類似の商号が存在するかを調べてもらえます。
- オンラインで確認(登記情報検索サービス)
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→ 登記・供託オンライン申請システム
→ オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について※ 商号調査のための検索のみを行う場合には、手数料は不要
商号は一度決めたら長く使うものです。将来的な変更も可能ではありますが、登記の変更や印鑑・銀行印の再作成、取引先への案内など、手間とコストがかかります。
はじめから長く使える名前を意識して決めておきましょう。
本店所在地を決める

本店所在地は、法人の“主たる事務所”として登記される住所です。この住所は、登記簿や国税庁の法人番号公表サイトなどで公開されるため、慎重に選びましょう。
本店所在地の選定ポイント
- 自宅を本店所在地とする場合
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設立コストを抑えるには有力な選択肢ですが、登記簿謄本や法人番号公表サイトで住所が公開されるため、プライバシー面でのリスクを理解しておく必要があります。
- 賃貸物件を本店にする場合
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マンションなど住居専用の物件では、事業利用が禁止されている場合があるため、事前に大家さんや管理会社に確認することが大切です。
- オフィスビルやバーチャルオフィスを使う場合
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同じ住所にすでに同じ商号の法人が存在すると、登記が受理されません。
法務局での確認や、登記情報提供サービスを使った事前調査をしておくと安心です。
バーチャルオフィスの活用
「自宅住所を公開したくない」「転居が多くて登記変更が面倒」などの理由で、バーチャルオフィスを利用するケースも増えています。法人登記可能なバーチャルオフィスであれば、コストを抑えつつ住所の信頼性を確保できます。
本店所在地の変更について
本店所在地は設立後に変更することも可能ですが、変更登記には手間と費用がかかるため、最初にできるだけ長く使用できる住所を選ぶのが理想です。
また、一度登記した住所は、「履歴事項全部証明書」を取得すれば過去の所在地もすべて記録として残ります。
そのため、「まずは自宅を本店にしておき、後から変更すればプライバシー対策になるだろう」と考える方もいるかもしれませんが、登記簿上には履歴が残るため、完全な対策にはなりません。
とくに、自宅住所を公開したくない方や、プライバシー面でのリスクが気になる場合には、設立時点からバーチャルオフィスなどの住所を検討する方が現実的な選択肢となるでしょう。
最初の本店所在地の選定は、後の手間や公開情報の扱いも含めて、慎重に検討することをおすすめします。
社員の構成人数と資本金を決める

合同会社を設立するには、「誰が出資するのか(社員)」と「いくら出資するのか(資本金)」を決めておく必要があります。これらは定款に記載され、登記事項にもなる重要な要素です。
合同会社の「社員」とは?
ここでいう「社員」とは、いわゆる従業員ではなく、「出資者」のことを指します。
合同会社では、出資者が経営にも直接関与し、業務を執行するのが基本です。つまり、社員=経営者(業務執行社員)という形になります。
株式会社でいう「取締役兼株主」に近いイメージを持つと分かりやすいでしょう。
また、株式会社でいう「代表取締役」に相当する役職は、合同会社では「代表社員」と呼ばれます。
代表社員は、対外的な契約や手続きを行う会社の“顔”となる存在です。
なお、社員には自然人(人間)だけでなく、法人を加えることも可能です。
社員の人数をどう決める?
合同会社は、社員1人でも設立が可能です。
1人で設立すれば、誰にも縛られず、自分のアイディアや判断で自由に運営できます。意思決定も迅速で、柔軟に事業を進められるというメリットがあります。
一方で、複数人で設立する場合は、資金力や専門知識を持ち寄ったり、役割分担をしたりしやすくなるという利点があります。
ただし合同会社では、原則として「出資割合に関係なく、社員1人につき1票」のルールで意思決定を行います。出資比率ではなく全員の合意が重視されるため、たとえ少額出資の社員であっても、重要事項では対等の発言権を持ちます。
このような仕組みから、定款の変更など重要な決定には「社員全員の同意」が必要になるため、意見が対立した場合には経営の足かせになるリスクもあります。
事業の方向性を自分の考えで主導したい場合は、まずは1人で設立しておき、必要に応じて後から他の人を社員として追加するという方法も検討するとよいでしょう。
資本金はいくらにすべきか?
合同会社は、資本金1円以上で設立が可能です。理論上はごく少額でも登記できますが、資本金の額は登記事項証明書に記載され、取引先や金融機関などに会社の信用度を示す要素として見られることがあります。
そのため、ある程度の金額を設定しておくことで、会社としての信用が得やすくなるでしょう。
資本金は、単に開業費用だけでなく、少なくとも半年分程度の運転資金も含めて考えるのが現実的です。
設立後に資金繰りで困らないよう、事業計画をもとに無理のない範囲で余裕を持たせることをおすすめします。
資本金が少なすぎて開業資金や運転資金が不足する場合、社員(出資者)からの借入金で補う方法もあります。
ただしその場合、貸借対照表が債務超過になる可能性が高く、対外的な印象が悪くなる恐れがあります。
融資などを検討している場合は、特に注意が必要です。
一方で、資本金が1,000万円を超えると、初年度から消費税の納税義務が発生し、法人住民税の均等割も高くなるため、1,000万円未満に設定するのが実務上の目安とされています。
また、資本金の額によっては登録免許税が最低額(6万円)を超えるケースもあります。
登録免許税は「資本金額×0.7%(=7/1000)」で計算されるため、約857万円を超えると税額が6万円を上回る点にも注意が必要です。
さらに、業種によっては、許認可の取得に一定額以上の資本金が求められる場合もあります。
特定の許認可が必要な事業を行う予定がある場合は、所管官庁の要件を事前に確認しておくようにしましょう。
現物出資はできる?注意点は?
資本金として出資できるのは、現金に限らず「現物出資(物品による出資)」も認められています。たとえば、パソコン、車、事業用の機械などが該当します。
合同会社の場合、株式会社のように裁判所の検査役や第三者の調査が不要なため、現物出資のハードルは比較的低いといえます。
ただし、以下の点に注意が必要です。
- 現物出資の内容や金額を定款に明記する必要がある
- 客観的に適正な価格であることが求められる(市場価値や中古相場を参考にする)
- 書類作成や登記時の手間が増える
筆者のおすすめは、設立時は現金出資のみにしておき、設立後に会社が個人から必要な物を買い取る方法です。
この方が手続きも簡単で、登記に関する煩雑さを避けられます。
業務執行社員と代表社員を決める

合同会社の運営において重要な役割を果たすのが「業務執行社員」と「代表社員」です。これらの役職は、設立時に誰がどのような立場で関与するのかを明確にするために、定款や登記にも記載されます。
業務執行社員とは?
業務執行社員とは、合同会社の中で実際に業務を運営・執行する社員のことを指します。
株式会社でいう「取締役兼株主」に近い存在で、出資者であり経営者でもあるのが特徴です。
合同会社では、定款に特別な定めがない限り、社員全員が業務執行社員となるのが原則です。
ただし、定款で業務執行社員を限定することも可能で、「この社員は業務を執行しない(=出資のみ)」と明記することで、いわゆるサイレントパートナー的な関与も可能になります。
なお、出資していない者が業務執行社員になることはできません。
業務執行社員は「社員(=出資者)」であることが前提となっているため、出資を伴わない経営参加は制度上できない仕組みです。
代表社員とは?
代表社員とは、合同会社における対外的な代表者で、株式会社でいう「代表取締役兼株主」に相当するポジションです。
登記事項にも記載され、契約などの法的行為を会社名で行う重要な役割を担います。
代表社員の選任ルールは次の通りです。
- 業務執行社員が1人の場合
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→ その社員が自動的に代表社員となります。
- 業務執行社員が複数いる場合
-
→ 定款で代表社員を1人に指定することが可能です。
→ 指定がない場合は、業務執行社員全員が自動的に代表社員になります。
代表社員は、会社を代表して、契約や手続きなどを単独で行える強い権限を持ちます。
そのため、複数人が代表権を持っている場合、それぞれが単独で契約行為を行うことが可能となり、意思の食い違いやトラブルにつながる恐れがあります。
経営の一貫性やリスク回避の観点からは、定款で代表社員を1人に限定しておくのが望ましいといえるでしょう。
誰に代表権を与えるかは、会社運営の安定に大きく関わるため、設立時点で明確に決めておくことが大切です。
法人も代表社員になれる?
代表社員は自然人(個人)に限らず、法人もなることができます。ただし、法人が代表社員になる場合、その法人を代表する「自然人」も併せて登記する必要があります。
これは、取引先や官公庁などの外部機関が、誰とやり取りをすればよいか明確にするためです。
事業年度(決算期)を決める

事業年度とは、会社の経営成績や財務状況を区切って集計・報告する期間のことです。個人事業主の確定申告では毎年「1月1日〜12月31日」が基本ですが、法人の場合は自由に事業年度を設定することができます。
適切な事業年度を設定することで、経理処理や資金繰りの計画が立てやすくなるだけでなく、納税スケジュールも調整しやすくなります。
決算期の決め方と注意点
事業年度は「設立日から1年以内」であれば、何月何日を区切りに設定しても構いません。ただし、以下のポイントを踏まえて慎重に選びましょう。
繁忙期を避ける
決算期末から2ヶ月以内に法人税などの申告・納税を行う必要があるため、繁忙期と重なると事務作業が大きな負担になります。比較的余裕のある時期に決算が来るよう調整するのが望ましいです。
棚卸が大変な時期を避ける
在庫を扱う事業の場合、決算時に「棚卸作業(在庫数の確認)」が発生します。在庫が多くなる時期を決算期にしてしまうと、集計作業に手間がかかってしまいます。
資金繰りに余裕のある時期を選ぶ
決算から2ヶ月以内に、法人税・法人住民税・法人事業税・消費税などの申告と納税が必要です。
そのため、手元資金が少なくなる時期や支出が多くなるタイミングの直前に決算があると、納税が負担になる可能性があります。
さらに、利益が出ている場合は、次の期に「中間申告・中間納税」が発生することがあります。
決算から8ヶ月後にも、もう一度まとまった納税があると考えておくと安心です。
たとえば、毎年決まって資金が厳しくなる月がある場合は、その月の2ヶ月前と8ヶ月前が決算日にならないようにしておくと、資金繰りのリスクを減らせます。
初めて事業を始める場合でも、事業計画のざっくりとした見通しをもとに、なるべく資金に余裕がありそうなタイミングを決算月にしておくのがおすすめです。
月末以外の決算日はおすすめしない理由
事業年度は通常、「4月1日〜翌年3月31日」のように1年間の区切りで設定されますが、必ずしも「月の始まりから月末まで」のような区切りにする必要はありません。たとえば「9月21日〜翌年9月20日」のように、月の途中から始まる設定も可能です。
ただし、実務上は月末を決算日にするのが圧倒的に多く、月中締めにすると次のような問題が発生する可能性があります。
- 経理ソフトや帳簿の管理が煩雑になる
- 給与計算や取引先の請求書とのズレが発生する
- 税務署への申告でトラブルになることがある
9月20日が申告期限だった法人が、当日に簡易書留で申告書を郵送しました。
ところが、税務署から返送された申告書の控には「9月22日収受」と押印されており、期限後申告として処理されかけたそうです。
後日、郵便局での受付日が有効であることを証明して訂正はできたものの、余計な手間と時間がかかってしまったとのことです。
そのため、特別な理由がない限りは「毎月末」を事業年度の区切りに設定するのが無難です。
なお、電子申告を利用する場合は、送信日時が税務署への提出日として扱われるため、郵送時のように受付日のズレが生じる心配はありません。
設立日を決める

合同会社の「設立日」とは、法務局に登記申請を行った日になります。この日から会社が法的に成立したとみなされ、事業を正式に開始できるようになります。却下等にならない限り、登記申請日がそのまま設立日になるため、設立日は自分で“選ぶ”というよりも「申請日=設立日」として逆算して準備を整える必要があります。
登記申請できる日時に注意
登記の申請方法には「窓口持参」「郵送」「オンライン(電子申請)」の3つがあります。申請日がそのまま「設立日」となるため、希望する設立日がある場合は申請方法に応じたタイミングで手続きを行う必要があります。
窓口・郵送での申請
法務局に直接持ち込む場合は、平日(月〜金)の午前8時30分から午後5時15分までが受付時間です。土日・祝日・年末年始は申請できません。
郵送による申請では、法務局に「到着した日」が受付日(=設立日)になります。そのため、希望する設立日に確実に間に合わせるためには、数日前に余裕をもって発送する必要があります。
オンライン(電子申請)の場合
登記・供託オンライン申請システムを利用することで、インターネット経由で設立申請が可能です。申請の送信自体は平日の午前8時30分〜午後9時まで受け付けていますが、午後5時15分以降に送信された場合は、翌開庁日の受付扱いになる点に注意が必要です。
つまり、電子申請であっても「申請日=設立日」とするには、平日の午後5時15分までに送信完了する必要があります。
なお、電子申請を活用すると、条件を満たすことで最短1日で登記が完了するケースもあり、書類の持参や郵送の手間を省けるメリットもあります。法務局に直接持ち込む場合はこの時間内に申請を行い、郵送申請の場合は法務局に「到着した日」が申請日(=設立日)になります。そのため、郵送の場合は数日前に余裕を持って送付しましょう。
設立日と事業年度の関係
事業年度は「設立日から1年以内」で設定する必要があります。たとえば、7月15日に設立した場合、最長で翌年の7月14日までが1期目の事業年度になります。
つまり、先に決算日を決めておくことで、逆算して「このあたりで設立登記を行えばよい」という目安が見えてきます。設立日と決算日の関係は、設立初年度の税務や実務に大きな影響を与えるため、合わせて検討するのがポイントです。
設立日が早すぎると損をする?
消費税には「設立初年度と翌年度は原則として免税になる」という特典があります。ただし、1期目の事業年度が極端に短くなると、免税期間も短くなってしまいます。
たとえば、設立日が7月15日で、決算日を8月31日とした場合、初年度は約1.5ヶ月しかなくなってしまい、免税期間が実質1年と少しになります。また、設立して間もなく決算・申告が発生することになり、実務負担も増えてしまいます。
このような事態を避けるためにも、決算日を先に決めてから設立日を調整するのが賢明です。
印鑑の準備(概要)

合同会社の設立には、最低限「会社の実印(代表印)」が必要になります。設立登記の際には、この実印を法務局に届け出る必要があるため、登記書類を提出する前に必ず用意しておきましょう。
なお、近年はデジタル化の進展により、行政手続きやビジネス文書において押印を省略するケースも増えてきましたが、法人登記や銀行口座の開設など、印鑑が必要とされる場面も依然として多く存在します。
印鑑には「実印」「銀行印」「角印」「認め印」「ゴム印」などがあり、それぞれ役割が異なります。詳しい内容については、以下の記事で解説しています。
▶︎ [法人印鑑の準備と選び方ガイド|設立前に必要な種類とポイントを解説(別記事へ)]
ここまでの準備をしっかり整えることで、スムーズかつ確実に合同会社の設立を進めることができます。
特に、「事業目的」や「資本金の額」、「設立日と決算日の関係」などは、後から変更するのが大変なポイントです。この記事を参考に、慎重に検討してみてください。
このあとは、いよいよ設立書類の作成と登記のステップに進みます。
▶︎ [次の記事:合同会社 設立書類の作成と提出方法ガイド(準備中)]