「簡易分光器」の作り方と「光」の特徴について(小学生・中学生の自由研究に)

 

私達人間が、当たり前のように見ている光。
光は、私たちの目によって、様々な「色」として認識して見えています。
これらは目で見える光なので、「可視光線」と呼ばれています。

虹はいくつの色からできていますか?

多くの日本人は、学校教育などを通じて得た知識として「7色」と答えるでしょう。
その色とは、

「虹は7色である」という考え方の起源は、ニュートンによる太陽光線の「分光器実験」に由来しています。

このページでは、

  • 実際に分光器を作り、色々な光を観察する
  • 見えている光には、様々な色が混ざっているということ知る
  • 「光」について、ザックリ学んでみる

これらを通して、「光」について広く浅く知識を得ることで、興味関心が持てたら良いなということを目標にまとめてみました。

 

自由研究の題材として、この記事をヒントに気になった内容をまとめてみるのはいかがでしょうか?

この記事の草案段階の資料を中学生の子供に見せたら、夏休みの自由研究の題材にして自分でまとめて「A゜」の評価をもらっていましたよ!

 

虹は本当に7色?

「虹は7色である」という考え方の起源は、1666年に行われた、アイザック・ニュートンによる太陽光線の「分光器実験」に由来しています。

※アイザック・ニュートン(Isacc Newton : 1642~1727年)とは?
りんごが木から落ちるのを見て「万有引力(ばんゆういんりょく)の法則」を発見したことで有名な人ですが、力学の発見だけでなく、光学や数学でも重要な発見をいつくもしています。

ニュートンが発表するまで、虹は3色(青・緑・赤)または5色(紫・青・緑・黄色・赤)と考えられていました。

3色
5色

しかし、ニュートンは「分光器実験」で、7色だけを見たわけではありません。
ニュートンが見た色は、このページで紹介する簡易分光器を実際に作って、自分の目で確認してみると分かります。

太陽光のスペクトル

虹の色は7色ではなく、無数の色があるように見えるはずです。
ニュートンは、このように順に並んだ色のおびを「スペクトル」と名付けました。

では、なぜニュートンは「7色」としたのでしょうか?
それは、「各色の帯のはばが、音楽の音階の高さに対応している」と、音楽と関係付けた事によるものでした。
ファの7音です。

なぜ音楽と関係付けさせたかというと、当時の時代背景が影響しています。
当時ニュートンが生きていたヨーロッパでは、音楽が学問のひとつであり、音楽と自然現象を結び付けることが大切、と考えられていました。

ニュートンが分光器実験で見た7色は、どのような色だったのでしょうか?
分光器を作って、自分の目で見て体験してみましょう!

自然現象を学ぶには、まずは体験してみて、そこから知識を得ていくのが一番の早道です。

「簡易分光器」の作り方

このページでは「回折格子(かいせつこうし)」を使った、簡易分光器の作成方法をご紹介します。

見本

私が実際に作った、簡易分光器はこちら。

簡易分光器

段ボールで作った、手作り感満載の「 ○mazo○1号です!(笑)

分光器の中身①

内側は、黒くした方が良いです。(光が反射してしまったため、マジックで塗りました)
皆さんが作る時には、黒い紙を貼るか、最初から内側が黒い厚紙を使った方が良いでしょう。

分光器の中身②

内部に、DVDを切って加工して作った回折格子を斜めに取り付けてあります。

DVDはハサミで切ります。
切ると文字を書くレーベル面がめくれてきますので、手でそっと引っ張って剥がします。

DVDを使った「簡易分光器」作成

剥がす時に、無水エタノールなどアルコールを使うと剥がしやすいのですが、今のこのご時世ですので頑張って手で剥がしましょう!

余談ですが、CDやDVDの信号が記録されているのは、このフィルムを剥がしたすぐ下です。これだけ薄いので、固いペンで文字を書いてしまうと信号面に傷が付いて読み取れなくなってしまうので、文字を書くときには気を付けましょう!

材料

用意するものは、

  • CD-RまたはDVD-R
  • 段ボール(と黒色の紙)、または黒色の厚紙
  • ハサミ

ペーパークラフト設計図

簡易分光器の作成例です。

箱の寸法は、100mm×65mm×35mm です。

CD-R の場合は約32度、DVD-R の場合は約40度に、切断片を立てかけます。

隙間から光が入らないように作り、覗き穴とスリットの2箇所、穴を空けます。

ペーパークラフト分光器の設計図

※こちらの図は、iPhone のカメラで光のスペクトル強度分布が測定出来るアプリ、「スペクトラルビューア、spectraView」用に公開されていた記事、「SpectraView用簡易分光器の自作例」の寸法を元に作らせて頂きました。
※当ページの設計図より、本家の記事を参考にして頂いた方が良いかもしれません。本家の記事は、印刷してそのまま使えるそうです。

 

「分光器」で、色々な光を観察してみよう!

作った分光器で、身の回りにある色々な光を観察してみましょう!

太陽の自然光や人工の光を分光してみると、光源によって色の成分が異なる様子が観察できます。

実際に目で見ると、もっと綺麗な光のスペクトルが見られますよ!

※当記事の画像はピントが合っていないため、実際の見た目とかなり違って写っています。参考程度で見て下さい。

太陽光

太陽光のスペクトルを観察するときは、太陽の無い方向の空に向けて観察しましょう!

普段、白色に感じている太陽の光には、色々な色が混ざっていることがわかります。
なめらかなグラデーションのスペクトルが観察できます。

太陽光で、晴れている時のスペクトルです。

太陽光のスペクトル(晴れ)

次の画像は、曇りの時のスペクトルです。

太陽光のスペクトル(曇り)

蛍光灯

蛍光灯の光は、何本か明るく輝いている線(輝線)が見られます。

人間の目には白く見える光ですが、実際には自然光と異なり、特定のスペクトルの光が幾つか合わさっているのが観察できます。

蛍光灯のスペクトル

LED照明

LEDシーリングライトを観察してみました。
青色を除いて、蛍光灯の様な輝線は沢山現れておらず、蛍光灯と比べて自然光に近いなめらかなスペクトルです。

白色にした時のスペクトルです。

LED照明のスペクトル(白色)

次の画像は、暖色にした時のスペクトルです。
白色の時と比べて、青の成分が減って、赤色の割合が増えているのが観察できます。

LED照明のスペクトル(暖色)

赤色レーザー光

赤色レーザーポインタの光のスペクトルです。

赤色レーザーポインタのスペクトル

レーザーポインタとは、離れた場所のある一点を光で指し示すための道具です。
ラベルに波長が書かれていますが、630~680nmの光ということで、スペクトルは赤色の狭い帯域の光しか出していません。

レーザーポインタ

 

「分光器」ってなに?

太陽光は、さまざまな「色」の光が混ざり合って、人間の目には白く見えています。

この光を色別に分けることを、「分光」といいます。

「分光器」とは、光を各色(波長)ごとに分解(分光)して、各色の強さを見ることができる装置のことです。

分かれる色の順番は、必ず決まっています。(この後で説明する「波長」と関係あり)
虹も同じ順番に見えていますので、覚えておいても損はないでしょう。

<波長が長い><波長が短い>

分光器の種類は、大きく分けて「プリズム型」と「回折格子(かいせつこうし)型」の2種類があります。

プリズム

プリズムは、光を分散(ぶんさん)・屈折(くっせつ)・全反射(ぜんはんしゃ)・複屈折(ふくくっせつ)させるための、三角形(多面体)の物です。
透明なガラスなどで作られています。

三角形のプリズム

プリズムの「光を分散」する特性を利用すると、太陽光などに含まれている光を色別に分けることができます。

次の写真は、LEDライトを分光したものです。

プリズムでLEDの光を分光

プリズムに向けてLEDライトの光を当てて、分光された光が壁に当たって虹色に見えています。

私が持っているプリズムは、私が子供の頃に父に買って貰った年代物。傷だらけです(^^;

プリズムは、通販で手に入ります。

なぜ色が分かれて見えるのでしょうか?

光がプリズムを通過するとき、空気中に比べてプリズムの中では光の進む速度が遅くなるので、「屈折」という現象が起きます。
プリズムの中で進む光の速度は、光の色(波長)によっても変わるので、色によって屈折量(曲がる量)も変わってきます。
赤色の光は速度が速いので曲がる量は少なく、紫色の光は速度が遅いので曲がる量が多くなります。
その結果、色が分かれて見えるようになるのです。

回折格子(かいせつこうし)

一般の回折格子は、目では見えない程の小さな多数の直線が平行に並んだ溝がシートに刻まれています。

この溝と溝の間を光が通るとき、光の「回折(かいせつ)」と「干渉(かんしょう)」によって色が分離されて見えます。

本当はもう少し分かりやすく説明を書きたいのですが、難しくて要約できませんでした。
詳しい事が知りたい方は、島津製作所のこちらのページが参考になると思います。

 

一番身近な回折格子に似たものは、当記事の「簡易分光器」のパーツとして使った、CDやDVDの読み取り面です。

身近にある回折格子(DVDの記録面)

 

回折格子は、英語でグレーティング(Gratings)と呼ばれ、「回折格子シート」や「グレーティングシート」という名称で商品が売られています。


CDやDVDではなく、こちらの「グレーディングシート」を使って、簡易分光器を制作されている方もいるようです。

JAXAではグレーディングシートを使った「光のスペクトル観測器を作ろう-簡易分光器-」という資料を公開しています。

 

人間の目に見える光(可視光線)の色と波長

光には、「波」と「粒子」の性質があります。

光を「波」として見たとき、波の山から山、または谷から谷までの長さである「波長」が、光の色を決めています。

波長とは

「光の波長」を表す単位は「nm」で、ナノメートルと読みます。

人間の目が認識することのできる光は「可視光線(かしこうせん)」と呼ばれています。
波長でいうと、約 380nm~780nm 程度とされています。

「可視光線」の波長と色の関係は、次のようになっています。

波長
380nm~435nm
435nm~480nm
緑青 480nm~490nm
青緑 490nm~500nm
500nm~560nm
黄緑 560nm~580nm
580nm~595nm
595nm~610nm
610nm~750nm
赤紫 750nm~780nm

可視光線の中には、近年話題の「ブルーライト」があります。
ブルーライトは 380nm~530nm の波長です。紫~青色付近の光で「加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)」という目の病気の原因の一つとされています。

この波長のうち400nm付近の青色光は、特に光のエネルギーが大きく、眼科の分野では「高エネルギー可視光線」と呼ばれていて、目の網膜(もうまく)を損傷引き起こす原因となっています。

スマホなどのディスプレイによる、目の網膜損傷を守るためには、ブルーライトカットのメガネやフィルターを使うことが有効です。

人間の目に見えない光(不可視光線)

私たち人間の目には見えていない光があります。
目に見えない光なので、「不可視光線(ふかしこうせん)」と呼ぶ場合があります。

その光は「可視光線」の波長より、波長が長いもの(赤外線)と、波長が短いもの(紫外線)です。

赤外線

赤外線は、1800年にイギリスのフレデリック・ウィリアム・ハーシェル(Frederick William Herschel)が、プリズムを使った実験で太陽光を分光させていたところ、赤色の外側の領域で可視光以上の温度上昇がみられたことがきっかけで発見されました。

人間の目は、波長の長い光を赤い光(610nm~750nm)として見ることができますが、赤色よりも波長が長くなると、徐々に色が見えなくなります。
その上限は、 760 - 830 nm 付近とされ、これより波長の長い光は人間には見えず、可視光線の赤色の外側という意味で 「赤外線」と言います。
英語では、下の~を意味するInfraと赤を意味するredを組み合わせて赤外線(lnfrared Ray)、もしくは赤外放射(lnfrared radiation)と呼ばれています。

赤外線は、約 780nm~1mm(ミリメートル) 程度の波長のものをいいます。

身近で応用されている「赤外線」は、テレビなどに使われているテレビ等のリモコンや、トースター、コタツ、赤外線ストーブなどがあります。

可視光線のように、赤外線にも波長によって色々な特徴があります。
一般的な分類は、近赤外線・中赤外線・遠赤外線の3つに分けられています。

名称 波長 特徴
近赤外線 0.78μm~2.5μm程度 可視光線の赤色に近い特性を持っています。「見えない光」として、赤外線カメラや赤外線通信、テレビなどのリモコンに応用されています。
中赤外線 2.5μm~4μm程度 近赤外線と遠赤外線の両方の特性を持っています。
遠赤外線 4μm~1mm程度 温度の高い物体ほど、強い遠赤外線を発します。遠赤外線が物体にぶつかりエネルギーが吸収されることで、温度を上昇させる特性があります。太陽の光が暖かく感じるのは、この遠赤外線です。物体の温度を色で表示するサーモグラフィーカメラは、遠赤外線を撮影しています。

波長と名称の区切りは、学会や団体によって異なります。
例えば、国際照明委員会(CIE)では、次のように分類しています。

名称 波長
IR-A 780nm~1400nm
IR-B 1.4μm~3μm
(1400nm~3000nm)
IR-C 3μm~1mm
(3000nm~100万nm)

紫外線

紫外線は、1801年にドイツのヨハン・ヴィルヘルム・リッター(Johann Wilhelm Ritter)により発見されました。

人間の目は、波長の短い光を紫色(380nm~435nm付近)として見ることができます。
紫よりも波長が短くなっていくと、人間の目には徐々に色が見えなくなり、「紫の外」の色になるので「紫外線」と言います。

紫を英語で言うとviolet、紫外線はultravioletで、頭文字を取ってUVと表記しています。
日焼け止めなどに、UVと書いてあるので、身近な言葉ですよね!

国際照明委員会(CIE)では、利用頻度が高い波長として、100nm~400nmの紫外線放射を次のように定めています。

名称 波長 特徴
UV-C 100nm~280nm 強い殺菌作用があります。生体に対する破壊性が強く人体に危険な光です。地球の成層圏にあるオゾン層が破壊されると、地上に届いてしまい生物に影響が出ます。UVランプによる殺菌灯に利用されています。
UV-B 280nm~315nm 太陽の光に当たると日焼けするのがこの光です。人間の皮膚に当たると、ビタミンDが生成されます。しかし、目に対して強いUV-Bは危険で、雪目炎や白内障などになる可能性があります。
UV-A 315nm~400nm 人間の皮膚の弾性を失わせ、老化を促進する光です。細胞の物質交代の進行に関係しており、細胞の機能を活性化させる。日焼けサロンで照射されるのは、主にこの光です。ブラックライトとして利用されています。

波長と名称の区切りは、学会や団体によって異なり、次のような区分もあります。

名称 波長
遠紫外線 1nm~(200~220nm)
中紫外線 (200~220nm)~(300~320nm)
近紫外線 (300~320nm)~400nm

 

光は「電磁波」の一種

光には「波」と「粒子」の性質がると書きましたが、「波」の特性に注目したとき、光は「電磁波(でんじは)」です。

それでは、「電磁波」とは何でしょうか?
電磁波とは、「電界(でんかい)」と「磁界(じかい)」が互いに直交し合いながら空間を伝わっていく波のことをいいます。

難しくて何を言っているのかさっぱり分かりませんね。
私も詳しく分かりません。
ここでは、分からなくても良いんです!

分からなくても、「電磁波」は、私たちの生活の中で様々なものに使われ、無くては困るほど色々なことに応用されています。

電磁波は、波長によって特徴が大きく変わり、呼び名や用途が異なってきます。

γ線 X線   紫外線 可視光線 赤外線 電波(テレビ・ラジオ・レーダー等)
- UV-C UV-B UV-A ------ 近赤外 中赤外 遠赤外 ミリ波~極極極超超波
~10pm 10pm~10nm 10nm~380nm 380nm~780nm 780nm~1mm 1mm~100,000km

 

可視光線よりも波長が長くなると、リモコン等で使われる近赤外線、さらに波長が長くなると熱エネルギーとして伝わる遠赤外線、さらに波長が長くなるとテレビや携帯などで使われている電波になります。

可視光線よりも波長が短くなると、日焼けや殺菌作用のある紫外線、さらに波長が短くなるとレントゲンに使われるX(エックス)線、さらに波長が短くなると滅菌などに使われるγ(ガンマ)線となります。

これらは全て、波長が違うだけの「電磁波」です。

参考にさせて頂いた資料

当記事の作成にあたり、下記のWebページを参考にさせて頂きました。
より詳しい内容を知りたい方は、下記のWebページが参考になると思います。