リン酸鉄リチウムイオン電池の性能は凄い! 鉛蓄電池と比較しながら LiTime(リタイム)のレビュー

リン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LiTime製)を購入して使ってみました。

性能が凄すぎて、もう従来の鉛蓄電池には戻れない!

というのが、使い始めてすぐに感じた感想です。

リン酸鉄リチウムイオン電池について、従来の鉛蓄電池との比較を交えながらまとめてみました。

リン酸鉄リチウムイオン電池って何?

安全なの?

使い勝手はどう?

などの疑問をお持ちの方の参考になれば幸いです。

 

「リン酸鉄リチウムイオン電池」とは

「リン酸鉄リチウムイオン電池」は、「リチウムイオン電池」の仲間です。

「リチウムイオン電池」はおよそ50年の歴史があり、正極・負極・電解質の違いから、「コバルト系」「マンガン系」「三元系」「リチウムポリマー系」など、複数の種類があり、それぞれエネルギー密度や電圧が異なります。

その一つが「リン酸鉄リチウムイオン電池」で、1セル当たりの起電力は3.2V。エネルギー量はリチウムイオン電池の中では低いですが、鉛蓄電池の約3倍位あります。2009年にソニーが初めて商品化しました。

リン酸鉄リチウムイオン電池は、正極(+極)にリチウム(Li)、鉄(Fe)、リン(P)使ったリン酸鉄リチウム(化学式:LiFePO4)が使われていることから、LiFePO4やLiFePO、単にLFPと表記されている場合もあります。

他のリチウムイオン電池と同様に電池内部で発熱はするものの、熱暴走が起こりにくく、爆発や発火の危険性が極めて低いので、安全性が高い電池です。

鉛蓄電池に代わるリン酸鉄リチウムイオン電池

車などで使われている鉛蓄電池は、1セル当たりの公称電圧が2Vで、6つ直列にして12Vにした物が多く売られています。

リン酸鉄リチウムイオン電池は、1セル当たりの公称電圧が3.2Vで、4本直列にして12.8Vにした物が売られています。(24V,48Vの商品も有り)

  • 昼間に太陽光発電で余った電気を蓄電して夜間に使う
  • 深夜の安い電気を蓄電して昼間に使う
  • 停電時などの非常用電源として蓄電しておいて、いざという時に使う
  • キャンピングカーなど、車中泊の電源として使う
  • その他、電気が無い場所で使う

この様な用途では、安価で多くの電気を貯められる蓄電池として、従来は「鉛蓄電池」が使われてきました。

鉛蓄電池の寿命は3年ほどで、200~500回程度のサイクル数です。

鉛蓄電池は、満タンに充電しても自己放電の量が大きく、1ヶ月間放置すると20%も減ってしまいます。頻繁に充電が必要であったり、密閉型でない場合は倒すと液漏れしたり、ガスが発生したり..。

もっと良い性能の電池は無いの?

という欲求を満たしてくれるのが「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」です。

私が購入した、リン酸鉄リチウムイオン電池と充電器

私が今回購入したのは、LiTime製の100Ah mini というこちらのバッテリーです。


 

充電器は、LiTime 14.6V 20A リン酸鉄リチウムバッテリー専用 を購入しました。



どちらもAmazon 等でも入手出来ますが、
Amazonよりも安く買える LiTimeの公式サイト で購入しました。

 

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リン酸鉄リチウムイオン電池のオススメポイント!

充電受け入れ性能が良い

使い始めて、最初に驚いたのが、充電電流の受け入れ性能です。

例えば、容量100Ahの鉛蓄電池の場合、適正充電電流は10Aで、充電後半で徐々に充電電流が少なくなりながら、結構長い時間チョロチョロ充電をした後に満充電になります。

一方、LiTimeのリン酸鉄リチウムイオン電池は、最大で100Aの充電が可能です。

製品マニュアルに記載の推奨充電電流と時間は、20A(0.2C)の場合5時間の充電で100%まで、50A(0.5C)の場合2時間で97%まで充電されます。

私は、100Ahのバッテリーに対して20Aタイプの充電器(0.2Cの充電電流)で充電しているのですが、満充電で自動停止する寸前まで20Aの電流を受け入れ続けて、満充電で停止します。

鉛蓄電池と比べて、充電時間がとても短くて済みます。

設置場所の制限が少ない

鉛蓄電池(シール型を除く)は、設置場所に制限があります。倒すと液漏れしますし、充電中や使用中にガスが発生するので、換気が必要です。

しかし、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、ガスの発生がありませんので密室でも使えます。

置き方も、逆さまに置く以外は、任意の方向に置くことができます。

使用温度に関しても、-20℃~60℃(充電は0℃~50℃、保存は-10℃~50℃、長期保存は10℃~35℃)の範囲で使えるので、設置場所はほぼ自由と言えるでしょう。

軽量コンパクトで持ち運びに便利

「鉛蓄電池」と「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」を、同容量のバッテリーで比較した場合、重量がといも軽いです。

メーカーのページによると、重さが3/10、サイズは3/5として掲載されています。

私が購入した、LiTime製の100Ah mini と、GSユアサのディープサイクルバッテリー(EB100)で実際に比較してみます。

EB100 の重さは34.5kgあるのに対し、LiTimeの100Ah mini は8.6kgなので約25%、4分の1の重さです。
EB100の体積は409×173×213mmなのに対し、LiTimeの100Ah mini は260×133×227.5mmで、約52.2%なので、およそ半分のサイズです。

長寿命

鉛蓄電池の場合、寿命を迎えるまでの充電サイクル数は、200~500回程と言われています。

先ほど比較に挙げたGSユアサのディープサイクルバッテリー、EBグランドスターシリーズの場合、80%の放電の深さまで使った場合で充電サイクルが500回程で寿命を迎えます。
80%を超える放電を繰り返すと、充電サイクル数は更に少なくなります。

しかし、LiTimeのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの場合は、25℃の環境で0.2Cの電流(100Ahのバッテリーであれば20A)で100%放電を行って4000サイクルとのことです。

私自身、実際にそこまで使い切って試した事がないので、メーカーを信じるしかないのですが..(^^;

鉛蓄電池の寿命は1~3年と言われていますが、LiTimeのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、10年と長いのも特徴です。

自然放電が少ない

リン酸鉄リチウムイオン電池の自然放電率は、1ヶ月あたり1%です。

防災用(災害用)に保管する場合でも、電池の残量を気にしなくて済みます。

これに対して、鉛蓄電池の自己放電率は、1ヶ月あたり20%ととても大きいです。

メンテナンスが不要

鉛蓄電池の場合、定期的に液量を点検し、減っていれば精製水を補充しなければなりません。(シール型や密閉型を除く)

また、鉛蓄電池は充放電を繰り返しているうちに、電極版の表面にサルフェーションという非伝導性結晶皮膜が増殖して劣化します。この劣化の進行を抑えるためには、定期的にパルス充電をしてサルフェーションを除去するメンテナンスが必要になります。

一方、リン酸鉄リチウムイオン電池の場合は、これらのメンテナンスは一切不要です。

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの欠点

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの欠点は、流すことのできる最大の電流に制限があることです。

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーには、電池を守るためにBMS(Battery Management System)というバッテリー管理システムが入っています。

BMSは過充電や過放電の防止、過熱・過充電の保護や、各セル毎の充電制御などをするための装置です。

最大出力電流を超えた電流が流れた場合に、BMSがバッテリーからの出力を停止してしまいます。

よって、自動車のセルモーターを回すような、瞬間的に大電流を必要とする用途では使えません。

とは言っても、私が購入したLiTimeの100Ah miniの場合、最大で100Aまでの連続出力には対応(最大放電電流は5秒間以内なら250Aまで対応)していますので、多くの電機製品で使えると思います。

私の使用目的

太陽光発電のFIT(固定価格買取制度)が終了し、余剰電力1kwhあたり42円での買い取り価格が8.5円になりました。

家庭用蓄電池を設置して余った電気を蓄電し、自家消費するのが理想ですが、初期コストが高すぎて、回収に20年以上かかる計算になりました。

低コストで、少しでも余った電気を貯めて夜間に使えないだろうか?

そこで蓄電池の候補に上がったのが、リン酸鉄リチウムイオン電池です。

ザックリとした計算ですが、リン酸鉄リチウムイオン電池なら、6~10年くらいで回収できそうなので買ってみました。

現在のところ、LiTime の 100Ah mini のバッテリーを使って、以下の利用をしております。

パソコンの電源として

DC-ACインバーターを使い、夜間にディスクトップパソコンを動かすために使っています。

自作PCで、GPUを2枚挿ししていることもあり、少し消費電力の大きいパソコンですが、ディスプレイ2台同時利用で6時間以上は動かすことが出来ます。

エアコンの電源として

6畳用パナソニック製のエアコンを動かしてみました。

私が持っているDC-ACインバーターの出力が、最大600Wの物であったため、弱く動かすことしか出来ませんでしたが、28.5℃の設定で上記パソコンを使いながら4時間位動かすことができました。

100Ahのバッテリー1台で、エアコンだけならば5時間位は動かすことが出来そうですが、部屋の広さや外気温と設定温度によっては、もっと短い時間しか動かせないです。
エアコンを動かすには、電池容量がもっと沢山必要ですし、DC-ACインバーターの出力は最低でも1000W、出来れば1500W以上の物でないと、満足に動かすことは出来ないと思います。

扇風機の電源として

私が持っているボルネードサーキュレーターの電源は直流24Vで動作する仕様のため、DC-DCコンバーターで12V→24Vに昇圧して接続して使っています。

通常ならば、DC-ACコンバーターで100Vの電源にしてから、サーキュレーター付属のDCアダプターで24Vにして使うことになりますが、2度も電圧変換をすることになり変換ロスが増えるので、専用電源を自作して使っています。

屋内の節電照明の電源として

我が家は、東日本大震災の後、キッチンや食卓の上に、12V電源で使える自作の節電照明を付けて使っています。

現在は、車用とUPSの古い鉛蓄電池がまだ使える環境ですが、これらの電池がダメになってから、リン酸鉄リチウムイオン電池の接続に切り替えて使おうと考えております。

その他の用途

以上の用途の他、昼間に充電出来なかった電動アシスト自転車のバッテリーの充電や、電動工具の充電に使うこともあります。

DC-ACインバーターに接続して使える電気製品ならば、何でも使えます。