長時間停電してしまうと、仕事にならなくて困る!

そんな心配を解消したいけれど、滅多に無い停電のために、本格的なパックアップ電源設備を導入するのはコストがかかるし..。

もっと安くできる方法はないの?

 

という方は、本記事の内容が参考になるかもしれません。

低価格で、パソコン等の機器を停電から保護しつつ、電気を長時間供給できるバックアップ電源に切り替える方法。

さらに、その切り替えを少ない手間で素早く切り替える方法をご紹介します。

私自身が実際に作って、いつでも稼働できる状態で今現在も事務所で使用しています。

 

考えて作ったきっかけは、東日本大震災

私が会計事務所で仕事中の3月11日、あの東日本大震災が発生しました。

3月11日と言えば、確定申告期限の4日前。

申告期限内に終わらせるために、必死で作業をしている最中でした。

14時46分の地震で停電し、停電から復帰するまでの約7時間。

一切の業務が出来ず、途方に暮れていました。

 

その後の計画停電では毎日2~3時間、突然停電する日々が続くことになり、多い日には2~3時間の停電が2セット。その度に仕事が出来ずに中断する日々。

サーバー1台とPC2台、停電中でも動かして仕事が継続できるようにしたい!

しかし、市販されているUPS(無停電電源装置)では容量が全く足りず、5~10分程度動けば良いところです。

そこで、突然の停電と長時間の停電の両方に対応できる方法を考えて作りました。

長時間の停電に対応させる方法

私が実際に作って現在も使用している電源システムは、UPSとDC-ACインバーターを使用します。

停電発生から電源復帰までは、次のような流れになっています。

 

  1. 停電した瞬間は、UPSでサーバーやPCを保護。
  2. UPSの駆動時間は5~10分程度が限界なので、その間に大型のバッテリーからの供給で動かせるDC-ACインバーターの電源に切り替える。
  3. 停電から復帰したら、DC-ACインバーターの電源から、商用電源に戻す。

 

「DC-ACインバーター」を使ってパソコンを動かす方法は、次の記事で紹介している内容と同じです。

 

ここからは、簡単に瞬時にバックアップ電源に切り替えて、無停電で長時間使えるようにする方法について解説します。

 

無停電・簡単切り替え 接続のしかた(回路図)

コンピューターの電源保護には、既にUPSを接続してある、とします。

想像して下さい。

やる事は、とても簡単です。

停電になったら、

  1. UPSの電源プラグを、壁のコンセントから抜く
  2. DC-ACインバーターの電源ON!
  3. UPSの電源プラグを、DC-ACインバーターに接続する

というだけです。

挿し替えるだけなので、簡単ですよね?

 

でも..!!

停電になった時は真っ暗になったうえに、UPSがピーピー鳴って騒ぐので、結構慌てるんですよね!

 

スイッチで切り替えられるようにすると、慌てず瞬時に切り替えることができます♪

回路図で示すと、次のようになります。

 

計画停電に対応した、バッテリー駆動の長時間給電システム回路図

 

この図の下部「アース端子付きコンセント」と書いてある所に、パソコンやレジ等の電源を挿して使用します。

停電した時には、

  1. DC-ACインバーターの電源をON
  2. 図の動いているスイッチ部分を、ガチャリと切り替える

だけです!

2~3秒で電気の流れを切り替えられるので、慌てなくて済むのです♪

 

この接続方法であれば、すぐにバックアップ電源に切り替えられるので、UPSのバッテリーをあまり消費しないうちに、インバーターの電源に切り替えることができます。

万が一インバーター用のバッテリーを使い切ってしまった場合でもUPSが保護してくれるので、その間にコンピューターをシャットダウンすれば十分間に合います。

 

※この図を見て、意味が分からん! という方でスイッチを付けたい方は、電気工事士に配線工事を依頼して下さい!

 

次は、用意する物を紹介します。

 

用意する物

用意する物は、次の6つです。

  1. UPS(無停電電源装置)
  2. DC-ACインバーター
  3. 大型のディープサイクルバッテリー
  4. バッテリー充電器
  5. 切替スイッチ
  6. コンセント

その他、それらを配線するためのケーブル類は必要になります。

UPS(無停電電源装置)

無停電電源装置(UPS)の例

UPSは Uninterruptible Power Supply の略で、日本語では無停電電源装置と呼ばれています。

突然の停電でパソコンのデータが消えてしまったり故障しないように、UPS内部のバッテリーを使って電気を供給し、一時的にパソコン等を保護するために使われています。

内部のバッテリーは、それほど大きな容量ではないため、長時間の停電には対応出来ない場合が殆どです。

一般的には、瞬間停電に対する保護のほか、停電時間が長引く場合には、パソコン等の電源が正常に切れるまでの、時間稼ぎを目的として使われています。

仕組みは、下記のDC-ACインバーターとバッテリーと充電器がセットになっていて、停電時に0.01秒以下の速度でバックアップ電源に切り替わる性能を持たせた物です。

次のUPSは一例です。

DC-ACインバーター

DC-ACインバーター

写真は、最大600Wの「正弦波」出力のDC-ACインバーターです。

DC-ACインバーターとは、バッテリーの電気を使って、100Vの家電製品を使うことが出来るようにする電気の変換器です。

 

安価な「矩形波」出力のDC-ACインバーターを使うと、接続するUPSを壊してしまうので、購入する時は注意して下さい。

当記事内に記載した、サーバーとパソコン2台を動かすために使用したインバーターと同クラスの最新機種(700Wタイプ)は、こちらです。


インバーターについてもう少し詳しい内容は、次の記事にまとめてありますので、こちらをご覧下さい。

大型のディープサイクルバッテリー

ディープサイクルバッテリー

ディープサイクルバッテリーとは、80%以上の放電サイクルでの動作(満タンに充電してから、残り20%以下になるまで使用する)を前提に設計されているバッテリーです。

フォークリフトや、電動ゴルフカート、電動車椅子などで使われています。

基本的な構造は車のバッテリーと同じですが、自動車用バッテリーに要求されている「瞬発力」が無い代わりに、深い放電に耐えられるように内部の電極が作られています。

鉛蓄電池は、大容量の割に比較的安価ですが、鉛が使われているので重たい点と、特に充電時にガスが発生するのが欠点です。

充電時には、酸素と水素のガスが発生するので、爆発防止のためにも換気が必要です。(ガスが発生しにくいシールタイプもありますが、大容量は一般的ではありません)

上記の写真は、GS-YUASAの EB160-L という型番の大型バッテリーで、重さは54.5Kgあります。


同じサイズでも、端子の位置や形状違いで複数ありますが、ゴルフカートなどの機械の中に入れて使用する訳ではないので、ネジで結線できるL型であればどれでも良いと思います。

サイズや容量などについては、GSユアサのサイトに掲載されていますので参考にして下さい。

バッテリー容量の選定は、機器の組み合わせや、使用環境、バッテリーの劣化状況など様々な要因によって変わるので、具体的な数値は出せません。

しかし、それでは容量を決められないので、もの凄く適当に多分この位かな~という時間を記載しておきます。明確な根拠が無く変換効率を75%位とし、電池の容量と特性からザックリ計算したもので、凄くいい加減な点、ご了承下さい

バッテリーサイズ 使用したい機器の消費電力量
100W 200W 300W 400W 500W
EB25 1時間 0.4時間
EB35 2時間 1時間
EB50 4時間 1.7時間 0.9時間 0.4時間
EB65 5.9時間 2.2時間 1.3時間 0.9時間 0.4時間
EB100 9時間 4.2時間 2.1時間 1.7時間 1.3時間
EB120 10.9時間 5.4時間 2.8時間 2時間 1.5時間
EB130 11.8時間 5.8時間 3.1時間 2.2時間 1.7時間
EB145 13時間 6.5時間 3.9時間 2.5時間 2時間
EB160 14.5時間 7.2時間 4.7時間 3時間 2.5時間

バッテリーを完全に使い切るまで使って、最大使えてもこの時間が限度かな?という時間です。

この時間に満たないかもしれませんし、これ以上持つかもしれません。

バッテリーの劣化や使用環境によっては、大幅に少なくなりますので、バックアップ時間に余裕を持った容量のバッテリーを選定する事をオススメします。

なお、鉛蓄電池の寿命は一般的には概ね3年程度と言われています。

バッテリーの廃棄は車のディーラーなど、カーバッテリーを扱っている所へ持って行けば回収してくれます。(私がお世話になっているディーラーでは、このドデカバッテリーも無料で回収してくれました)

バッテリー充電器

ディープサイクルバッテリーへの充電には、バッテリーの容量に合った専用の充電器が必要です。

私が使用しているのは、未来舎(POWERTITE)の CH-1225GTD ですが、現在は廃盤になっているので、後続機種の CH-1225GFP のリンクを貼っておきます。


充電器の出力電流は、大きければ早く充電が出来ますが、バッテリーに対して規定以上の電流を流すと、バッテリーを痛めてしまいます。

CH-1225GFP を例にすると、定格出力電流が22.5Aになっていますので、GSユアサのこちらの表 から、EB100 以上の容量のバッテリーなら使えると判断して選びます。

切替スイッチとコンセント

切替スイッチとコンセント

切替スイッチは、日東工業のDCS-3P(15A) を使用しています。

コンピューターのアース線(接地線)を含めて3本の線を同時に切り替える目的でこのスイッチを選びました。

特殊なスイッチなので、ホームセンター等では扱っていないと思います。

ネットで購入できます。


コンセントは、接地付きのプラグが付いたUPSを接続する関係で、抜け止め形の接地付きOAタップを使っています。


こちらの商品は電源ケーブル付きですが、ネジでタップを分解出来るので、ケーブルを外して好きな長さに加工すことができます。

別途ケーブルを買うよりも、ケーブル付きの商品の方が割安だったので、私は外したケーブルを加工して接続に使いました。

 

電源ケーブルは別売りで、自分で加工して接続する商品もあります。

配線のための工具など

●裸圧着端子 丸形 100P R2-4S (ニチフ端子工業)

スイッチに配線する際により線のまま接続すると、外れやすかったり接触不良を起こす危険がありますので、圧着端子の使用をお勧めします。


●圧着工具 P-732 (HOZAN ホーザン)

圧着端子を圧着するための工具です。
軽い力で確実に圧着ができて、とても扱いやすいです。


●熱収縮チューブ

圧着端子をスイッチに取り付けると、圧着端子が構造上飛び出してしまい、感電の危険があります。
熱を加えることで収縮する、熱収縮チューブを使って絶縁保護すると、見た目も綺麗に仕上がります。
取り付けは、このページ下部の「実際に取り付けてある状況」の写真を見て頂くと分かると思います。

黄色い色をした物が、熱収縮チューブです。

 

●プラグ

壁のコンセントやDC-ACインバーターの接地付きコンセントに挿すプラグを自作する方は、次の物辺りが良いと思います。


配線のイメージ図

ご紹介した切り替えスイッチやOAタップを使って、どの様に接続をしているか、イメージ図にしてみました。

商用電源・インバーター電源切り替えイメージ図

 

前述した回路図は、切替スイッチのすぐ後にUPSが接続されていますが、実際にはスイッチとUPSの間にOAタップが入っています。

切替スイッチを下側に倒している時には、商用電源がOAタップに流れます。

切替スイッチを上側に倒した時には、DC-ACインバーターの出力が、OAタップに流れます。

OAタップには、UPSを接続します。

 

実際に取り付けてある状況

参考に、実際にどの様に取り付けて運用しているか、ご紹介します。

次の写真を見て頂くとイメージが付きやすいのではないかと思います。

商用電源からバックアップ用電源への切替スイッチパネル

OAタップに2つ挿さっていますが、上側の大きな物がUPSの電源です。

下側には、UPS付きサーバーの電源を挿してあります。

 

追加情報

このページでは、DC-ACインバーターと大型のバッテリーを使って、長時間の停電に対応出来るバックアップ電源のシステムと、手軽に切り替えできるスイッチをご紹介しました。

最近は、乗用車に100V最大15Aまで使えるコンセントが付いている(オプションの場合あり)車があります。

車載のコンセントの出力が「正弦波」であればUPSが故障することはありませんので、回路図に示したDC-ACインバーターの出力部分を車のコンセントに置き換えるだけで、車のガソリンが無くなるまで電気を供給することも可能です。

バッテリーを使い切る程の長時間停電が発生し、さらに継続して電源を確保したいという場合は有効だと思います。

我が家のエスクァイアにもオプションで付けたのですが、「正弦波」か否かの確認をしていません。

確認したら、続報でこちらのページに追記します。

 

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