災害などによる停電のために備えておきたい!
アウトドアなど、電源が無い場所で家電製品を使いたい!
車などで使われている12V(ボルト)の電源(電池)を使って、家電製品を動かす方法は?

そのような悩みや疑問は、この記事を読めば、きっと解決します!

停電時などに、家電製品を動かす方法とは?

家のコンセントから電源が取れない時の電源と言えば、一番身近なものは乾電池ですよね。
さすがに1.5Vの乾電池ではパワー不足で、家電製品を動かすことは出来ません。

もっとパワーのある、車などで使われている12Vのバッテリーがあれば動かせます。

ただ、電源電圧が100Vで交流電流という条件をクリアしなければいけません。
そこで必要になるものは、100Vの交流電流を作り出す「DC-ACインバーター」という装置です。

バッテリーには種類と容量の違いがあり、インバーターにも出力波形違いで3種類あります。
安いからと適当に買ってしまうと、使い物にならなかったり、家電製品を壊してしまう場合(実際に壊した経験有り)があります。

このページでは、DC-ACインバーターを動かすための電源と、DC-ACインバーターの種類について解説していきます。

12Vの電源

DC-ACインバーターを動かすためには、ある程度の容量とパワーのある電源が必要です。

一般的に使われているのは、自動車のバッテリーとしても古くから使われている「鉛蓄電池」です。

DC-ACインバーターとの組み合わせで使える電源をご紹介します。

※最近はリチウムイオンバッテリーもある様ですが、高価な上に専用の充電器で充電コントロールが必要なので、ここでの解説からは除外します。

鉛蓄電池(自動車用)

一般的に入手しやすい鉛蓄電池と言えば、昔から車で使われている12Vのカーバッテリーがあります。

自動車用バッテリー

自動車用バッテリーは、エンジンを始動する際に、車のセルモーターに大電流を供給する事が目的で作られており、スターターバッテリーとも呼ばれています。つまり、瞬時に大電流を取り出せ、エンジン始動直後からすぐに充電されることが前提の構造になっています。

そのため、バッテリー容量の75%以下になるような使い方をすると、電池がすぐに痛んでしまうという特徴があります。

電池が痛まない様に繰り返し使うには、電池容量のたった25%程度しか使えないのです!
停電時のDC-ACインバーター用の電源として使えなくはないですが、バッテリーが傷んでも構わないという緊急時を除いて、あまりおすすめは出来ません

鉛蓄電池(ディープサイクル)

停電時に利用するには、深い放電に耐えられる「ディープサイクルバッテリー」がオススメです。

ディープサイクルバッテリー

ディープサイクルバッテリーは、繰り返し充放電して使う用途で、80%以上の放電サイクルを前提に設計されたバッテリーです。

パソコンの停電対策商品であるUPS(無停電電源装置)、電動車椅子、電動のゴルフカート、フォークリフト等の電池として使われています。

構造的な違いとしては「開放型」と「密閉型」の2種類があり、どちらのタイプも内部には希硫酸が入っています。

「開放型」のタイプは、充電時に発生するガス(酸素と水素)を逃がすための穴が空いているので、多くのカーバッテリーと同様に、倒してしまうと中から希硫酸が漏れ出してしまいます。

シールバッテリー

上記写真は、横に寝かして使っても液漏れしない「密閉型」のタイプで、「シールバッテリー」と呼ばれている物です。パソコンの停電対策商品であるUPS(無停電電源装置)によく使われています。

充電時に発生するガス(酸素と水素)もバッテリー内部で処理されるので、基本的に充電中の換気が不要なので、室内でも安心して充電ができるという点も特徴です。

鉛蓄電池を非常用電源として備蓄しておくには、時々メンテナンスが必要です。
購入して半年近く放置しておくと、自然放電によってかなり容量が減ってしまいます。減ったまま放置しておくと、内部の電極が腐った状態になり、充電が出来なくなってしまいます。

いざという時に使える様にするには、時々補充電するか、フローティング充電が出来る鉛蓄電池用の充電器に常時接続しておくことが必要です。

良好な状態をキープしておくには、半月~1ヶ月に1回位は少し使用して充電するということを繰り返します。それでも一般的に約3~5年で寿命が到来します。

自動車を電源にする

上記のとおり、自動車用バッテリーをDC-ACインバーターの電源にすることはおすすめ出来ませんが、自動車用バッテリーが搭載されている車を発電機代わりにして、DC-ACインバーターの電源として使う方法があります。

自動車のバッテリー

非常時の電源としては、車のエンジンを始動して電気を取るこの方法が、バッテリー容量を気にしなくて済むうえに電池のメンテナンスの必要も無く、一番安価で実用的ではないかと思います。

私は長期停電を経験したことがありませんが、所持しているディープサイクルバッテリーも使い果たしてしまった際には、この方法で家電製品を使うつもりです。

北海道胆振東部地震の際に、北海道で展開しているセイコーマートでは、自動車を電源にして停電時もコンピにの営業を行っていました。
当方情報が入らず詳細は不明ですが、この記事の内容と同様に車から12V電源を取り、DC-ACインバーターで100V電源を用意し、レジの電源にしたのではないかと推測しております。

インバーター(変換器)

DC-ACインバーター

DC-ACインバーター」は、直流の電源から、交流100Vの家電製品を使える様にするための電源変換装置です。DC-ACインバーターがあれば、バッテリーや自動車から電気を取ることで、家電製品を動かすことができるようになります。

商品はおおまかに、出力波形の違いで3種類(矩形波疑似正弦波正弦波)あります。

価格は「最大出力の大きさ」と「出力される波形」の違いにより、安価なものから高価な物までピンキリです。

安価でコストパフォーマンスに優れているタイプの殆どは、矩形波疑似正弦波タイプですが、接続する家電製品によっては家電製品が故障します(実際に給湯器の電源を壊した経験有り(^^;  給湯器の記事はこちら)。

結論から言うと、正弦波(サイン波)タイプのDC-ACインバーターを選ぶことを強くお勧めします

予算の関係で仕方なく矩形波・疑似正弦波出力タイプの物を選択する場合は、使用する機器に注意が必要です。

家庭用コンセント電源の予備知識

家庭やオフィスで使っている電源はどの様な波形をしているか、実際に見てみましょう!

商用電源の波形

私の家の壁コンセント(商用電源)の電源波形です。
波形の上下の頭部分が若干潰れていますが、ほぼ正弦波です。
場所や時間帯、柱上トランス配下で使われている機器など様々な要因によって波形が乱れますが、概ねこの様な波形です。

※波形の見方画面中央水平線が0V。その水平ラインを基準に、上は+、下は-。
コンセントの100V電源は、波形的には+141V~-141Vの振れ幅で、毎秒50または60回変動を繰り返しています。
0Vを境に、電流が交互に入れ替わる、この様な電源を「交流電源」と言います。

安価なDC-ACインバーター(矩形波・疑似正弦波)

安価なDC-ACインバーターの殆どは、正弦波ではなく「矩形波」、少し良い機種で「疑似正弦波」と呼ばれる波形の電源を作り出す装置です。

例えば、私が持っているこちらのDC-ACインバーター。

DC-ACインバーター DC-ACインバーター

日本製(FD-150(疑似正弦波) : 株式会社セルオート)

定格120Wまでの電気製品が使えるという商品です。
2002年にカーショップで購入したのですが、当時は品数が少なく今より高価な物でした。

この商品のパッケージには、「疑似正弦波」出力と記載があります。

「疑似正弦波」がどの様な波形か、この商品の出力波形をオシロスコープで確認してみました。

矩形波(Square wave)

疑似正弦波」の画像です

上に掲載した家庭のコンセント(商用電源)の出力波形とは全く異なり、波形が角張っているのがわかると思います。

0Vから急に立ち上がり、+125V付近で一定時間定電圧に、その後急に0Vに戻り一定時間を空けた後に、-125Vで一定時間定電圧になり、再び0Vに戻る、を繰り返しています。

このタイプのインバーターは、使用できない家電製品があります。

疑似正弦波」タイプの場合、モーターやトランスを使った機器や力率改善回路(PFC : Power Factor Corrected)が入っている家電製品を接続すると、壊れやすかったり即壊れてしまう場合があるとのことです。

上にも書きましたが、給湯器に接続して、給湯器の電源を壊してしまった経験有りですので、要注意です!! (給湯器の記事はこちら

安心して使えるDC-ACインバーター(正弦波・サイン波)

正弦波(サイン波)出力のDC-ACインバーターなら、この家電製品を繋いでも大丈夫? と心配する必要がありません。どんな家電製品でも使えるので安心です。

気を付ける点は、消費電力のみです。

正弦波(サイン波)タイプのDC-ACインバーターの一例をご紹介します。

DC-ACインバーター(未来舎 FI-S353A) DC-ACインバーター(未来舎 FI-S353A)

上の写真は、私が停電時に備えて持っている 未来舎FI-S353A-12VDC(連続350Wまで使用可)という機種です。

FI-S353A-12VDCは電源電圧違いで、12V、24V、48V の3種類あります。上記の物は12Vタイプですので、車の電源に接続して使用することが出来ます。

FI-S353A-12VDCの出力波形を見てみましょう!

正弦波(Sine wave)

商品宣伝の説明に偽り無く、極めて綺麗なサイン波です。

上の商用電源の波形写真と比べても、綺麗なのは一目瞭然です。

インバーターの電源ケーブルについて

大きな出力電流に対応しているインバーターになるほど、太い電源コードが必要になります。

FI-S353A-12VDC(上記の正弦波インバーター)の連続出力は350W(瞬間最大出力は700W)ですが、8sq(断面積8m㎡)という、とても太いより線の電源ケーブルが3m付属していました。

ちなみに、家庭の100V用で一番太い15Aのより線コードは、2sq(断面積2m㎡)です。
数字で比較してもかなり太い線である事がお分かり頂けるかと思います。

電源の電池電圧が低いほど、大電流の供給が必要になり、電源用の電線は太いケーブルが必要になります。

自動車を電源にして使用する場合、シガーソケットからの電流ではとても足りません。車のボンネットを開けて、バッテリーに直接接続しての使用になります。

オススメのDC-ACインバーター

最近は、正弦波出力のインバーターでも、海外製の安価な物が沢山販売されています。とても魅力的に感じますが、やはり電圧の安定性など信頼面においては、日本のメーカの方が安心です。

私のオススメは、当記事で波形の撮影に使用した 未来舎 または DENRYO の商品です。

未来舎 も DENRYO も、どちらのDC-ACインバータも、歪率3%以下の正弦波を出力します。

DENYRO は、私自身が東日本大震災後の計画停電の時に、会計事務所のサーバーとワークステーションを動かすために、160Ah の容量の大きいディープサイクルバッテリーと定格出力 600W のインバーターとを繋いで使用しましたが、全く問題なく動作しました。

DENRYOU インバーター
ディープサイクルバッテリー

DENRYO は、メーカーサイトによると、計測器・精密機器・人工呼吸器などの医療機器の電源としても使用可能との記載がありますが、未来舎 もほぼ同じスペックで、納入先を見ても自衛隊・官公庁・放送局などですので、どちらも安心して使えるインバーターだと言えるでしょう。

サイズの選び方

未来舎 も DENRYO も、定格出力が 120W から 3000W まで何種類か商品ラインナップがあります。

DC-ACインバーターを選ぶ時は、使用したい電気製品が、どれ位の消費電力かによって変わってきます。

使用したい電気製品の最大消費電力よりも、インバーターの定格出力の方が大きい物を選びます。

ただし、定格出力が大きくなると値段も高くなりますし、電源ケーブルも太い物を使用することになるので、無駄に高出力の物を選ばない方が良いです。

テレビや照明、ノートパソコンやディスクトップパソコン、家庭用の冷蔵庫であれば、350Wもあれば十分ですが、これらを同時に接続したい場合には700Wは欲しいところですね。

当記事で取り上げた商品の紹介

当記事で、波形測定に使った未来舎の 350Wタイプは、こちらです。


当記事内に記載した、サーバーとワークステーションを動かす時に使用したインバーターと同クラスの最新機種(700Wタイプ)は、こちらです。


上のSK700にはケーブルが付いていません。
別売りのSK700専用(純正品)は、ワニ口クリップ付きの加工済みケーブルなので、買ってすぐに使えます。

※電源電圧12Vタイプの容量違いで掲載していますが、検索の具合によって24Vや48Vタイプが表示されていたり、型番違いの商品が表示されている場合があります。購入される際には念のため型番や電源電圧をご確認下さい。

他の方法もあります!

全部セットになった商品がある!

今回の記事では、私が持っていた物の中から紹介しましたが、最近はアウトドア用の商品?として、バッテリーとDC-ACインバーターが一体になった商品も数多く存在します。

リチウムイオンバッテリーを搭載したものとしては、例えばこの様な商品。

こちらの商品は、正弦波出力のインバーターを内蔵しています。
出力は、 100Vのコンセントと12Vシガーソケット、さらにUSB出力まで付いています!
充電は、ACアダプターのほか、ソーラーパネルでの充電も可能です。

電池容量は、120.6Ah、434Wh なので、小型の割に大容量です。
福岡市や川崎市をはじめ、様々な自治体で非常時の電源供給用として採用されている商品です。

この他に、中身の電池が、当記事で取り上げた鉛蓄電池が使われた物もあります。
鉛蓄電池が入った商品は、当記事に書いた内容と同様のメンテナンスを行わないと劣化しますし、リチウムイオンバッテリーは、満タン充電のまま放置しておくと電池の劣化を早めてしまう問題もあります。どちらも長期間放置しておくと、いざという時に使えない可能性がある商品ではないかと思いますが、アウトドアで頻繁に使われる方であれば問題ないと思います。

ポータブル発電機(ガソリンを使用)

小型エンジンを用いた発電機と、インバーターがセットになったポータブル電源もあります。

例えば、本田技研工業のEU18iという、正弦波インバーターを搭載したこちらの発電機。

接続できる家電製品は、100V最大18Aまで(50Hz/60Hz両対応)の高出力。しかも、運転時間は3.0~7.5時間。燃料(自動車用無鉛ガソリン)を3.6リットル入れただけで、これだけの時間と発電量で動いてくれるのは良いですね!
車を電源にしてアイドリングを続けるよりも、効率よく発電が出来ます。
欠点は、騒音(81~90dB)や、ガソリンの入手と管理の問題、室内での使用は一酸化炭素中毒になるので危険、という点があります。

ポータブル発電機(カセットコンロのボンベを使用)

ガソリンは保管が怖い、という方には、カセットボンベを用いた発電機がオススメです。

例えば、本田技研工業のEU9iGB(エネポ)という正弦波インバーターを搭載したこちらの発電機。


接続できる家電製品は、100V最大9Aまで(50Hz/60Hz両対応)の出力。カセットボンベ2本で、運転時間は1.1~2.2時間。
ガソリンを使うタイプに比べてカセットボンベは、手軽な入手と保管が出来る点が魅力ですね。
こちらも欠点としては、騒音(79~84dB)と、室内での使用は一酸化炭素中毒になるので危険、という点があります。