外部からのトリガー信号で、短時間だけスイッチをONまたはOFFにする、オフディレイスイッチ(遅延回路)を作りましたので、ご紹介します。
このオフディレイスイッチを作った当初の目的は、震度5強以上の地震発生時に、パソコンをシャットダウンするようにしたい!という事でした。
地震発生時に電源を遮断すれば簡単なのですが、パソコンはいきなり電源を落としてしまうと故障する場合があります。
地震発生時にトリガー信号を得て、パソコンがシャットダウン動作を開始してくれるのが理想です。
Windowsには設定によって、電源ボタンを押すとシャットダウンをする、という機能が付いています。
オフディレイスイッチを使って、電源ボタンを押したのと同じ動作をするように作れば実現できる、と思い付いたことがキッカケでした。
どんな物?
外部からのトリガー信号により、遅れてリレーがON-OFFします。
具体的には、外部から供給されるトリガー用の電源が切れると同時に、コントロール用のリレーがONになり、1秒後くらいにOFFになります。
この動作により、パソコンの電源ボタンを手で押したのと同じ動作を、リレーで行うというものです。
今回作った物は回路の動作に必要な12V電源の他に、トリガー信号用として12VのACアダプターを使っています。
トリガー信号の元は、「感震タップ」や「SwitchBotスマートプラグ」を使い、これらに12VのACアダプターを接続してトリガー信号用の電源としています。
回路図
次のページを参考にしながら回路を作らせて頂きました。
動作について
このオフディレイ回路は、10μFの電解コンデンサに電気が貯まるまでの時間だけ、回路図の右側にあるコントロール用のリレーがONになる動作をします。
回路図の左側のリレーは、外部信号として供給される12V電源で動作し、通電状態の時にGNDに接続されているので、電解コンデンサの電位は放電状態の0Vになります。
外部信号として供給される12V電源がOFFになると、左側のリレーは12Vの電源側に切り替わり、10μFの電解コンデンサを通ってトランジスタのベースに流れ、右側のコントロール用リレーが作動します。
電解コンデンサへの充電が完了に近付くにつれ、電流の流れが止まるので、トランジスタのベースに流れなくなり、右側のコントロール用リレーは動作を停止します。
まとめます。
- 信号が入力されると、本回路は待機状態になります。
- 信号が切断されると、リレーが動作しONになります。
- タイムアウトすると、リレーが動作しOFFになります。
- タイムアウト前に信号が入力されると、リレーがOFFになります。
基板配置図
今回作成したオフディレイスイッチの、部品の配置図と、裏面の配線図です。
表面
基板表面の部品配置と、ビニール線の接続は、次のように行っています。
裏面
基板裏面の配線は、次のように行っています。
使用したパーツ
- トランジスター:2SC1815Y 1個 【Amazon:2SC1815-Y (20個入り)】
- 抵抗:15kΩ 1本 【Amazon:金属皮膜抵抗 1/4W ±1% 15KΩ (10本入り)】
- 半固定抵抗:20KΩ 1個 【Amazon:20kΩ(5個入り)】
- 電解コンデンサ:10μF 1個 【Amazon:アルミ電解コンデンサー 16V 10μF(10個入り)】
- ダイオード:×2個 【Amazon:ショットキー バリア ダイオード 1N4004(60個入り)】
- リレー:DC12V 2個 【Amazon:OMRON ミニリレー G6A-274P 12VDC】
- ACアダプター:12V 2個 【Amazon:OEM社製 ACアダプター 12V 1A】
- ユニバーサル基板:1枚 【Amazon:サンハヤト 小型ユニバーサル基板 ICB-88】
- スペーサー:4個 【Amazon:スペーサー 4×10mm】
- 木ネジ:4本
- 木の板:1枚
※Amazonへのリンクは参考で用意してあります。私が使用した物とは別のパーツです。サイズや仕様が異なる場合がありますのでご注意下さい。
使い方
図中の線は、以下のように接続します。
- 赤色(+)と黒色(-)の線には、12Vの電源を接続します。
- ピンク色(+)と水色(-)の線には、「感震タップ」や「SwitchBotスマートプラグ」に接続した12VのACアダプターを接続します。
- オレンジ色の線(極性無し)は、マザーボードのPower SWへ接続します。
「感震タップ」や「SwitchBotスマートプラグ」に接続したACアダプターの電源が切れたタイミングで作動が開始します。
リレーの動作時間は、半固定抵抗で若干調節が可能ですが、概ね1秒前後の微調整用として取付けした物ですので、大きくは変わりません。
リレーがONになっている時間を長くしたい場合には、
- 電解コンデンサの容量を大きな物にする
- 半固定抵抗の値を大きくする
これらの調整で可能です。
私は、Yグレードのトランジスタを使用して作りましたが、GRやBLグレードの物を使っても動作はします。
GRやBLグレードでも試作してみましたが、HFEが大きくなるので動作時間が少しだけ長くなりました。
類似の動作をする完成品の紹介
自作した回路は、アナログのオフディレイ回路ですが、「タイマーリレー モジュール」として、デジタルで多機能な物が市販されています。
トリガー信号が入力されてから短時間で動作が完了する、今回ご紹介した様な物でしたら、自作でも適当に作れば使える物が出来上がると思います。
しかし、トリガー入力から長い時間が経過してから作動させたい場合や、正確な時間で作動させたい場合には、デジタルのタイマーリレーモジュールが便利です。
例えば、こちらの商品。
このモジュールに通電したタイミングで動作を開始するパターンが8通りあり、このモジュールに通電された状態でトリガー信号の入力により動作を開始するパターンが10通りで、合計18通りの機能が内蔵されています。
英文ですが、マニュアルはこちらに有ります。