【停電対策】車などのバッテリー(12V)で家電製品を使う方法

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【停電対策】車などのバッテリー(12V)で家電製品を使う方法

災害などによる停電のために備えておきたい!
アウトドアなど、電源が無い場所で家電製品を使いたい!
車などで使われている12V(ボルト)の電源(電池)を使って、家電製品を動かす方法は?

そのような悩みや疑問は、この記事を読めば、きっと解決します!

目次

停電時などに、家電製品を動かす方法とは?

家のコンセントから電源が取れない時の電源と言えば、一番身近なものは乾電池ですよね。
さすがに1.5Vの乾電池ではパワー不足で、家電製品を動かすことは出来ません。

もっとパワーのある、車などで使われている12Vのバッテリーがあれば動かせます。

ただ、電源電圧が100Vで交流電流という条件をクリアしなければいけません。
そこで必要になるものは、100Vの交流電流を作り出す「DC-ACインバーター」という装置です。

バッテリーには種類と容量の違いがあり、インバーターにも出力波形違いで3種類あります。
安いからと適当に買ってしまうと、使い物にならなかったり、家電製品を壊してしまう場合(実際に壊した経験有り)があります。

このページでは、DC-ACインバーターを動かすための電源と、DC-ACインバーターの種類について解説していきます。

12Vの電源

DC-ACインバーターを動かすためには、ある程度の容量とパワーのある電源が必要です。

一番のオススメは、「リン酸鉄リチウムイオン電池」です。

自動車のバッテリー等でも使われている「鉛蓄電池」も使えます。

DC-ACインバーターとの組み合わせで使える電源をご紹介します。

リン酸鉄リチウムイオン電池

LiTime製の100Ah mini

「リン酸鉄リチウムイオン電池」は、スマホなどで使われている「リチウムイオン電池」の仲間で、2009年にソニーが初めて商品化したバッテリーです。

正極(+極)にリチウム(Li)、鉄(Fe)、リン(P)使ったリン酸鉄リチウム(化学式:LiFePO4)が使われており、他のリチウムイオン電池で起こるような爆発や発火の危険性が極めて低く、安全性の高い電池です。

エネルギー量は、鉛蓄電池の約3倍あり、重量は約1/3と軽いです。

充電サイクル数は、鉛蓄電池が200~500回なのに対し、リン酸鉄リチウムイオン電池は4,000~15,000回あります。

寿命は、鉛蓄電池が3年ほどなのに対し、リン酸鉄リチウムイオン電池は約10年。

ともかく、鉛蓄電池と比べて超高性能な次世代のバッテリーです。

詳しいことは、こちらの記事にまとめてあります。

鉛蓄電池(自動車用)

一般的に入手しやすい鉛蓄電池と言えば、昔から車で使われている12Vのカーバッテリーがあります。

自動車用バッテリー

自動車用バッテリーは、エンジンを始動する際に、車のセルモーターに大電流を供給する事が目的で作られており、スターターバッテリーとも呼ばれています。つまり、瞬時に大電流を取り出せ、エンジン始動直後からすぐに充電されることが前提の構造になっています。

そのため、バッテリー容量の75%以下になるような使い方をすると、電池がすぐに痛んでしまうという特徴があります。

電池を痛めないように繰り返し使うには、満充電にしてから電池容量の25%だけしか使えないのです!

停電時のDC-ACインバーター用の電源として使えますが、バッテリーが傷んでも構わないという緊急時を除いて、おすすめは出来ません

鉛蓄電池(ディープサイクル)

鉛蓄電池を停電時に利用するなら、深い放電に耐えられる「ディープサイクルバッテリー」がオススメです。

ディープサイクルバッテリー

ディープサイクルバッテリーは、繰り返し充放電して使う用途で、80%以上の放電サイクルを前提に設計されたバッテリーです。

パソコンの停電対策商品であるUPS(無停電電源装置)、電動車椅子、電動のゴルフカート、フォークリフト等の電池として使われています。

構造的な違いとしては「開放型」と「密閉型」の2種類があり、どちらのタイプも内部には希硫酸が入っています。

「開放型」のタイプは、充電時に発生するガス(酸素と水素)を逃がすための穴が空いているので、多くのカーバッテリーと同様に、倒してしまうと中から希硫酸が漏れ出してしまいます。

シールバッテリー

上記写真は、横に寝かして使っても液漏れしない「密閉型」のタイプで、「シールバッテリー」と呼ばれている物です。パソコンの停電対策商品であるUPS(無停電電源装置)によく使われています。

充電時に発生するガス(酸素と水素)もバッテリー内部で処理されるので、基本的に充電中の換気が不要なので、室内でも安心して充電ができるという点も特徴です。

鉛蓄電池を非常用電源として備蓄しておくには、時々メンテナンスが必要です。
購入して半年近く放置しておくと、自然放電によってかなり容量が減ってしまいます。減ったまま放置しておくと、内部の電極が腐った状態になり、充電が出来なくなってしまいます。

いざという時に使える様にするには、時々補充電するか、フローティング充電が出来る鉛蓄電池用の充電器に常時接続しておくことが必要です。

良好な状態をキープしておくには、半月~1ヶ月に1回位は少し使用して充電するということを繰り返します。
それでも一般的に約3~5年で寿命が到来します。

自動車を電源にする

上記のとおり、自動車用バッテリーをDC-ACインバーターの電源にすることはおすすめ出来ませんが、自動車用バッテリーが搭載されている車を発電機代わりにして、DC-ACインバーターの電源として使う方法があります。

自動車のバッテリー

非常時の電源としては、車のエンジンを始動して電気を取るこの方法が、バッテリー容量を気にしなくて済むうえに電池のメンテナンスの必要も無く、一番安価で実用的ではないかと思います。

私は長期停電を経験したことがありませんが、所持しているディープサイクルバッテリーも使い果たしてしまった際には、この方法で家電製品を使うつもりです。

北海道胆振東部地震の際に、北海道で展開しているセイコーマートでは、自動車を電源にして停電時もコンピにの営業を行っていました。

最近のハイブリッド車等で、100Vのコンセントが付いている場合、車を電源として使うための専用モード(通常の走行モードでの起動ではなく、電源を取るための特殊な起動モード)が付いた車種もあります。

インバーター(変換器)

DC-ACインバーター

DC-ACインバーター」は、直流の電源から、交流100Vの家電製品を使える様にするための電源変換装置です。DC-ACインバーターがあれば、バッテリーや自動車から電気を取ることで、家電製品を動かすことができるようになります。

商品はおおまかに、出力波形の違いで3種類(矩形波疑似正弦波正弦波)あります。

価格は「最大出力の大きさ」と「出力される波形」の違いにより、安価なものから高価な物まで色々あります。

安価でコストパフォーマンスに優れているタイプの殆どは、矩形波疑似正弦波タイプですが、接続する家電製品によっては家電製品が故障します(実際に給湯器の電源を壊した経験有り(^^;  給湯器の記事はこちら)。

結論から言うと、正弦波(サイン波)タイプのDC-ACインバーターを選ぶことを強くお勧めします

予算の関係で仕方なく矩形波・疑似正弦波出力タイプの物を選択する場合は、使用する機器に注意が必要です。

家庭用コンセント電源の予備知識

家庭やオフィスで使っている電源(商用電源)はどの様な波形をしているか、実際に見てみましょう!

商用電源の波形

私の家の壁コンセントの電源波形です。
波形の上下の頭部分が若干潰れていますが、ほぼ正弦波です。
場所や時間帯、柱上トランス配下で使われている機器など様々な要因によって波形が乱れますが、概ねこの様な波形です。

波形の見方画面中央水平線が0V。その水平ラインを基準に、上は+、下は-。
コンセントの100V電源は、波形的には+141V~-141Vの振れ幅で、毎秒50または60回変動を繰り返しています。
0Vを境に、電流が交互に入れ替わる、この様な電源を「交流電源」と言います。

安価なDC-ACインバーター(矩形波・疑似正弦波)

安価なDC-ACインバーターの殆どは、正弦波ではなく「矩形波」、少し良い機種でも「疑似正弦波」と呼ばれる波形の電気を作ります。故障の原因になる家電製品があるので、オススメはできません。

例えば、私が持っているこちらのDC-ACインバーター。

DC-ACインバーター
DC-ACインバーター

日本製(FD-150(疑似正弦波) : 株式会社セルオート)

定格120Wまでの電気製品が使えるという商品です。
2002年にカーショップで購入したのですが、当時は品数が少なく高価な物でした。

この商品のパッケージには、「疑似正弦波」出力との記載があります。

「疑似正弦波」がどの様な波形か、この商品の出力波形をオシロスコープで確認してみました。

矩形波(Square wave)

疑似正弦波」の画像です

家庭のコンセント(商用電源)の出力波形とは全く異なり、波形が角張っているのが分かると思います。

0Vから急に立ち上がり、+125V付近で一定時間定電圧に、その後急に0Vに戻り一定時間を空けた後に、-125Vで一定時間定電圧になり、再び0Vに戻る、を繰り返しています。

このタイプのインバーターは、使用できない家電製品があります。

疑似正弦波」タイプの場合、モーターやトランスを使った機器や力率改善回路(PFC : Power Factor Corrected)が入っている家電製品を接続すると、壊れやすかったり即壊れてしまう場合があるとのことです。

上にも書きましたが、私は給湯器に接続して、給湯器の電源を壊してしまった経験有りですので、要注意です!!

安心して使えるDC-ACインバーター(正弦波・サイン波)

正弦波(サイン波)出力のDC-ACインバーターなら、基本的にどんな家電製品でも使えるので安心です。

気を付ける点は、消費電力のみです。

正弦波(サイン波)タイプのDC-ACインバーターの一例をご紹介します。

DC-ACインバーター(未来舎 FI-S353A)
DC-ACインバーター(未来舎 FI-S353A)

上の写真は、私が停電時に備えて持っている 未来舎FI-S353A-12VDC(連続350Wまで使用可)という機種です。

FI-S353A-12VDCは電源電圧違いで、12V、24V、48V の3種類あります。上記の物は12Vタイプですので、車の電源に接続して使用することが出来ます。

FI-S353A-12VDCの出力波形を見てみましょう!

正弦波(Sine wave)

商品宣伝の説明に偽り無く、極めて綺麗なサイン波です。

上の商用電源の波形写真と比べても、綺麗なのが分かると思います。

インバーターの電源ケーブルについて

大きな出力電流に対応しているインバーターになるほど、太い電源コードが必要になります。

FI-S353A-12VDC(上記の正弦波インバーター)の連続出力は350W(瞬間最大出力は700W)ですが、8sq(断面積8m㎡)の太いより線の電源ケーブルが3m付属していました。

FI-S353A-12VDC付属のケーブル

ちなみに、家庭の100V用で一番太い15Aのより線コードは、2sq(断面積2m㎡)です。
数字で比較してもかなり太い線である事がお分かり頂けるかと思います。

電源の電池電圧が低いほど、大電流の供給が必要になり、電源用の電線は太いケーブルが必要になります。

自動車を電源にして使用する場合、シガーソケットからの電流ではとても足りません。車のボンネットを開けて、バッテリーに直接接続しての使用になります。

オススメのDC-ACインバーター

最近は、正弦波出力のインバーターでも、海外製の安価な物が沢山販売されています。とても魅力的に感じますが、やはり電圧の安定性など信頼面においては、日本のメーカの方が安心です。

私のオススメは、当記事で波形の撮影に使用した 未来舎 または DENRYO の商品です。

未来舎 も DENRYO も、どちらのDC-ACインバータも、良質な正弦波を出力します。

DENYRO は、私自身が東日本大震災後の計画停電の時に、会計事務所のサーバーとワークステーションを動かすために、160Ah の容量の大きいディープサイクルバッテリーと定格出力 600W のインバーターとを繋いで使用しましたが、全く問題なく動作しました。

DENRYO は、メーカーサイトによると、計測器・精密機器・人工呼吸器などの医療機器の電源としても使用可能との記載がありますが、未来舎 もほぼ同じスペックで、納入先を見ても自衛隊・官公庁・放送局などですので、どちらも安心して使えるインバーターだと言えるでしょう。

サイズの選び方

未来舎 も DENRYO も、定格出力が 120W から 3000W まで何種類か商品ラインナップがあります。

DC-ACインバーターを選ぶ時は、使用したい電気製品が、どれ位の消費電力かによって変わってきます。

使用したい電気製品の最大消費電力よりも、インバーターの定格出力の方が大きい物を選びます。

テレビや照明、ノートパソコンやディスクトップパソコン、家庭用の冷蔵庫であれば、350Wもあれば十分ですが、これらを同時に接続したい場合には700W以上は欲しいところですね。

エアコンを動かすには、1500Wクラスが必要になります。
因みに、私が持っている600Wタイプで6畳のエアコンを夏場に動かしてみましたが、最弱モードで辛うじて動きましたが、基本的に電気容量不足(オーバーロード)で停止してしまいます。

定格出力が大きくなると値段も高くなりますし、電源ケーブルも極太な物が必要になるので、無駄に高出力の物を選ばない方が良いです。

当記事で取り上げた商品の紹介

当記事で、波形測定に使った未来舎の 350Wタイプは、こちらです。

自然エネルギー・安川商事
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当記事内に記載した、サーバーとワークステーションを動かす時に使用したインバーターと同じメーカーで、出力が1ランク大きい機種(1000Wタイプ)は、こちらです。

測定器・工具のイーデンキ
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他の方法もあります!

全部セットになった商品がある!

今回の記事では、私が持っていた物の中から紹介しましたが、最近はバッテリーとDC-ACインバーターが一体になった商品も数多く販売されるようになりました。

リチウムイオンバッテリーを搭載したものとしては、例えばこの様な商品。

こちらの商品は、正弦波出力のインバーターを内蔵しています。
出力は、 100Vのコンセントが4個、合計で500W (瞬間最大750W)の電気製品が使えます。
さらに、12Vシガーソケット、さらにUSB-AとUSB-Cの出力まで付いています!

充電はACアダプターのほか、ソーラーパネル、車のシガーソケット、さらにUSB-Cポートからの充電にも対応しています。

電池容量は、512Wh。
リン酸鉄リチウムイオン電池搭載なので、充電サイクル数は3,000回の時点で初期容量の80%を維持。
1週間に3回の頻度で8年間利用した場合でも、経年劣化による最大容量の低下は10%未満とのこと。
保障期間も最長5年と長いので、長期間安心して使用できる文句なしのスペックです。

この商品は小型ですが、エアコンを動かせるくらいの大型の物もあります。

ポータブル発電機(ガソリンを使用)

小型エンジンを用いた発電機と、インバーターがセットになったポータブル電源もあります。

例えば、本田技研工業のEU18iという、正弦波インバーターを搭載したこちらの発電機。

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接続できる家電製品は、100V最大18Aまで(50Hz/60Hz両対応)の高出力。しかも、運転時間は3.0~7.5時間。燃料(自動車用無鉛ガソリン)を3.6リットル入れただけで、これだけの時間と発電量で動いてくれるのは良いですね!
車を電源にしてアイドリングを続けるよりも、効率よく発電をしてくれます。

欠点は、騒音(81~90dB)や、ガソリンの入手と管理の問題、室内での使用は一酸化炭素中毒になるので危険、という点がありますが、音の問題に関しては、専用の防音ボックスでかなり軽減されそうです!
約8~10dB騒音を低減してくれます。

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ポータブル発電機(カセットコンロのボンベを使用)

ガソリンは保管が怖い、という方には、カセットボンベを用いた発電機がオススメです。

例えば、本田技研工業のEU9iGB(エネポ)という正弦波インバーターを搭載したこちらの発電機。

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接続できる家電製品は、100V最大9Aまで(50Hz/60Hz両対応)の出力。
カセットボンベ2本で、運転時間は1.1~2.2時間。
2台の発電機を並列接続することで、1台の発電機だけでは使用できない消費電力の大きな機器にも対応できます。

ガソリンを使うタイプに比べてカセットボンベは、手軽な入手と保管が出来る点が魅力ですね。
こちらも欠点としては、騒音(79~84dB)と、室内での使用は一酸化炭素中毒になるので危険、という点がありますが、自治会や町内会で購入されているなど、人気のある機種です。

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