愛用している扇風機が突然止まるようになりました。
確認してみると、コードを動かしたときに動いたり止まったりします。さらに詳しく調べると、本体から出ている電源コードの付け根付近を動かすと止まる症状が再現。原因はこの部分の断線でした。
購入から7年が経過しており、通常であればメーカー修理より買い替えを考えるところですが、どちらも費用がかかります。原因が断線と特定できたので、「コードを交換すれば安く直せるかも」と思い、DIYで修理にチャレンジしました。
この記事では、日立HEF-DC5000を例に、実際に行った電源コード交換の様子を紹介します。機種によって内部構造は異なるため、ここで紹介する内容はあくまで参考例です。
同じような症状で困っている方やDIY修理に慣れている方のヒントになれば幸いです。
なお、この記事はあくまで私自身の体験記であり、メーカーが推奨する修理方法ではありません。
作業は感電や火災、故障などのリスクを伴います。必ず電源を抜いてから行い、安全対策を徹底したうえで、すべて自己責任で挑戦してください。
修理前に確認すること
今回の作業は、「扇風機という家電本体の修理」です。
建物に固定された配線工事ではないため、電気工事士などの資格は必要ありませんが、本来であればメーカー修理に依頼するのが正しい対応です。
この記事の内容はあくまで自己責任での参考例としてご覧ください。
症状の確認と原因の特定
まずは症状をしっかり確認します。
コードを動かしたときに電源が入ったり切れたりする場合、コード内部で断線している可能性が高いです。特に扇風機本体から出ているコードの付け根やコンセントプラグの根元は、負荷が集中しやすく断線が起きやすい箇所ですので、その付近から確認すると良いでしょう。
私の場合、本体付け根に付いている「コードプロテクター(ストレインリリーフ)」が切れかかっており、その部分を動かすと電源が落ちました。これにより、断線箇所はここだと判断できました。
(参考)目視や動作確認で特定できないときは、テスターで導通を確認するとより確実です。

必要な工具と部品
修理には以下の工具と部品を準備します。
- 交換用電源コード VFF 1.25mm²(元と同等の太さを使用)
- 修理用コンセントプラグ
- プラスドライバー
- ニッパー・ワイヤーストリッパー
- はんだごて・はんだ
- 熱収縮チューブ
- ガスごて(ヒートガン)
- テスター(任意:導通確認用)
※今回の事例では、コードを動かすと停止する症状から断線箇所を絞り込み、VFF 1.25mm²のコードに交換して復旧しました。工具や部品は機種によって異なる場合があるため、実機の構造に合わせてご用意ください。
扇風機の分解
断線箇所が特定できたら、修理作業に入るために本体を分解します。
この作業は感電防止のため必ず電源プラグを抜いた状態で行います。
本体底面のカバーを外す
日立HEF-DC5000 の裏蓋は複数のネジで止まっていますので外していきます。

写真の赤丸印部分(記憶で印を付けたので不正確かもしれません)のネジを外すと、裏蓋が外せます。
電源ボックスを外す
基板に接続されているコネクターを外してから、電源ボックスの二ヶ所のネジを外して、電源ボックスを外します。

電源ボックスの蓋を開け、損傷ケーブルを切断
電源ボックスは、爪を外すことで蓋が開けられます。

AC100Vの線を基板から外して付け替える予定でしたが、基板への半田付け難易度が高めでしたので、途中で切断して、継ぎ足すことにしました。

電線を継ぎ足すにあたり、万が一引っ張られる等で、接続部分の絶縁が外れて接触してしまうと、ショートして火災の原因となり、非常に危険です。
そのため、接続部分が重ならないように、必ずずらして切断するようにします。

新しい電線の接続と絶縁処理
新しい電線は、製品付属の電線と同じ太さの1.25㎟のVFFケーブルを用意します。
使用したコードと同じ種類の物はこちら。

VVFケーブルや、平形ビニルコード等の名称で売られているコードです。
切断位置に合わせて新しい電線も切断します。

被覆を剥がします。
電線露出部分は、7mm位にしていると思います。
無駄に長いのは危険ですし、短すぎると半田付けがしにくいです。

電線の絶縁処理は、ブチルゴムを巻いても良いですが、今回は熱収縮チューブを用意しました。

電線を接続する前に、予め各電線に熱収縮チューブをはめ込んでおいてから、半田付けをして接続します。

本来は圧着端子を用いて接続する方が良いのですが、今回は定格消費電力が21Wと少ない製品であることと、スペースの関係で、半田付けでの接続にしました。
ヒートガンで熱収縮チューブを収縮させて、絶縁処理を行います。

余談ですが、私はヒートガンではなく以下のガスごての先に、替こて先の「ホットエアー」を付けて、ヒートガンとして使っています。


GP-501は、ガス式のはんだごてとして売られていますが、先端を替えることでヒートガンとしても使えますし、こて先をホットナイフにすれば、熱で溶かして使うフローリングの修復材を溶かすこてとしても使えたりします。電源を気にせずに何処でも使えて、カセットコンロのガスでも使えるので、とても便利です。
電線の抜け止め防止と固定
電線が引っ張られた時に、接続ポイントや電源ボックス内部の電線まで引っ張られないように、電線抜け止め防止の固定を行います。
まずは元々電線が通されていた赤丸印の隙間にケーブルを差し込みます。

電源ケース内部の電線にゆとりがある状態になるような位置で、拘束バンドをきつく締めて、固定します。

画像では、拘束バンドを1本のみ使用していますが、二本で固定すれば、より安全になると思います。
電線は、本来通っていた場所と異なるルートを通すことにしました。

画像赤丸印の様に電線を通すことで、電線が引っ張られた際により抜けにくくなると思います。
コードプロテクターの代用品を付ける
電線を全く新しく入れ替えましたので、元々扇風機本体付け根に付いていた「コードプロテクター(ストレインリリーフ)」が無い状態になります。
コードプロテクターが無いと、使用中に扇風機の根元の同じ付近で電線が強く折れ曲がる状態を繰り返してしまい、また断線してしまいます。
そこで、熱収縮チューブを用いて、コードプロテクターの代用品を作ることにしました。
用意した熱収縮チューブの太さは3種類用意し、長さも複数用意して組み合わせることで、ゆるやかに曲がるように工夫をしてみました。

一番細い熱収縮チューブは3種類の長さを用意し、一番長いものから順にヒートガンで収縮させて取り付けていきます。
以下の写真のように重ねて収縮させて取り付けを行いました。

最終的には一番太い部分が、以下の写真のように、扇風機本体の電線出口にピッタリと、しっかり収まるような太さになるまで重ねて取り付けていきました。

扇風機本体の裏蓋を閉めた時に、以下の写真のようになる様な長さで、黒とグレーの熱収縮チューブは長さと位置を調節して取り付けを行いました。

熱収縮チューブの長さを変えて、本体の根元に行くに従って太くなる様に取り付けてあります>

電線が引っ張られた時に、緩やかに丸いカーブが出来るようにしてみました。
電源プラグの作成
扇風機本体から出ている電線を、お好みの長さで電線を切断して、コンセントプラグを取り付けていきます。

用意する物は、コンセントプラグ、Y型圧着端子、圧着工具です。
VVFコードはより線ですので、このままではコンセントプラグへのネジ止めは出来ません。
圧着端子と専用の圧着工具を使うことで、安全に結線することができます。
使用している圧着工具、圧着端子、コンセントプラグは以下の物を使用しております。



コンセントプラグの取り付け方については、次の記事で詳しく説明していますので、そちらをご覧下さい。