蛍光灯、まだ使っていますか?
環境や健康への配慮から、2027年末をもって日本国内では 一般照明用の直管・環形・コンパクト蛍光灯の製造および輸出入が禁止されることが決まっています。
現在も使用は可能ですが、今後はランプの入手が難しくなり、価格の上昇や供給の不安定化が予想されます。
そこで今回は、事務所でよく使われている40W蛍光灯2灯タイプのベースライトを、 LEDベースライトにDIY交換した事例をご紹介します。
具体例として National製FA42038(FSS4-402)からパナソニックXLXシリーズへの交換を行いましたが、他メーカーの同等器具でも基本的な作業の流れは同じです。
DIYで交換する際の注意点や実際の手順も写真付きで解説しますので、交換を検討している方はぜひ参考にしてください。
なお、既存器具をそのまま使い、蛍光灯型LEDランプに差し替える方法もありますが、器具ごとLEDベースライトに交換した方が、より高い省エネ効果が得られます。詳しくは後ほど解説します。
LED化の方法は2種類!どちらを選ぶべき?
事務所の蛍光灯照明をLED化する方法には、大きく分けて2つの選択肢があります。
それぞれの特徴を整理してみましょう。
既存器具を活かして「蛍光灯型LEDランプ」に交換する
既存の蛍光灯器具にそのまま取り付けられる、直管タイプのLEDランプを使用する方法です。
- メリット
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- 既存器具に適合している商品を購入すれば、工事不要でそのまま使えるため、初期費用を抑えられる
- 注意点
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- 「工事不要」と表示されていても、電気工事士による安定器をバイパスする配線工事が必要な場合がある
- 安定器の種類(グロー式、ラピッドスタート式、インバーター式)によっては適合しないランプもあるので、購入時に取付器具に適合した商品であるか、よく確認する必要がある
- デメリット
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- 既存器具の安定器が残るタイプの場合、電力損失が発生し、LED本来の効率を十分に発揮できない
- 器具との相性によってはちらつきや動作不良が発生する場合がある
- 安定器が故障するとランプも点灯しなくなる
- 古い器具の場合、何れは器具ごと交換が必要になり、長期的にはコスト増になる可能性がある
器具ごとLEDベースライトに交換する
古い蛍光灯器具を丸ごと撤去し、新しいLEDベースライトに取り替える方法です。
- メリット
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- 安定器を介さず直接LEDを駆動するため、電力効率が非常に高い
- 安定器がないため将来的な故障リスクがなく、メンテナンスの手間とコストを大幅に削減
- 最新のLED技術により、ちらつきが少なく均一で明るい光
- デザイン性も向上し、空間がすっきりと明るい印象に変わる
- デメリット
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- 電気工事士資格が必要なため、資格がない場合は業者に依頼する必要がある
- 初期費用は蛍光灯型LEDランプの交換より高め
どちらを選ぶべき?
どちらの方法もLED化は可能ですが、長期的なコスト削減・安全性・快適性を考えると、器具ごとのLEDベースライト交換が最もメリットが大きいです。
特に事務所のように長時間点灯する場所では、省エネ効果を最大限に活かせる器具交換がオススメです。
この記事では、実際に40W蛍光灯2灯タイプのベースライトをLEDベースライトに交換したDIY事例を紹介します。
交換前の器具の概要
今回交換したのは、事務所の天井に設置されていた National製 FA42038(器具内には FSS4-402 の記載あり)の蛍光灯器具です。

出典:Panasonic
40W直管蛍光灯を2本使用するベースライトで、事務所や店舗など幅広い場所で普及している器具です。
National製 FA42038のザックリとしたスペックはこちら。
- 40形白色蛍光灯2灯
- ランプ定格全光束:6000 lm(全光束:5450 lm)
- 消費電力:78 W
- 消費効率:69.9 lm/W
※消費電力は、使用する蛍光灯により変わります。
※FA42038に限らず、同じような構造の40W2灯タイプの蛍光灯器具であれば、今回紹介する手順を参考にできます。
取り付けたLED器具の紹介
今回取り付けたのは、パナソニック製 XLX440DEWURZ9 です。
このモデルは 器具本体 NNLK42523J と ライトバー NNL4400EWPRZ9 のセットで構成され、メーカーでは PiPit(ピピッと)調光タイプ 一体型LEDベースライトとして販売されています。
天井直付け型・連続調光型で、別売りのリモコンを使用すると10〜100%の範囲で滑らかに明るさを調整可能です。
このモデルはライトバーがユニット化されており、将来的に光源が故障した場合でもライトバーのみ交換可能です。ライトバーの交換作業はプラグを抜いて差し替えるだけで完了するので、電気工事士の資格は不要です。

スペック概要
- 器具光束:3780lm
- 色温度:4000K(白色LED)
- 調光範囲:10〜100%
- 消費電力:25.4W
- 消費効率:148.8lm/W
- 演色評価数:Ra83
- 光束維持時間:40000時間(光束維持率85%)
蛍光灯器具の National製 FA42038 と比較して、消費電力は約3分の1と省エネ性能が高く、良好な演色性で事務所照明として必要十分な性能です。
調光タイプならではの便利な機能
今回選んだ PiPit調光タイプ には、省エネと利便性を両立する便利な機能が搭載されています。
- リモコンで個別に消灯可能
-
複数の照明器具を取り付けている場合には、使わない場所の照明だけをオフにできます。
節電に効果的です。 - 調光設定を記憶
-
壁スイッチで一度消灯しても、次回点灯時は前回の明るさで点灯します。
これらの機能により、日常的な使い勝手が向上し、省エネ効果も最大限に発揮できます。
光束の数値と明るさについて
従来の蛍光灯器具である National製 FA42038 と、今回取り付けたLED器具(XLX440DEWURZ9)の明るさを比較すると、体感的には今回取り付けたLED器具の方がやや明るく感じました。
しかし、カタログスペック上の「光束」の数値を比較すると、蛍光灯は全光束で5450 lmなのに対し、今回取り付けたLED器具は、器具光束が3780lmと、数値が大きく少ないです。
これは、光の測定方法と広がり方の違いによるものです。
蛍光灯は360度の光の総量を示す一方、LEDは下方向に集中した光の量を示すため、数値に差が出ます。
選定理由と長期使用の実績
同じ部屋では11年前に導入したLEDベースライト(XL953SFVKLE9)が今も故障なく現役で、5年前に導入した調光タイプ(XLX450DEWTRZ9)も非常に満足度が高いものでした。
ただし、5年前のモデルは明るすぎて常に50%程度の明るさで使用していたため、今回は1ランク抑えた明るさの現行モデルである(XLX440DEWURZ9)を選びました。
DIY交換作業の注意点と準備
LEDベースライトへの交換は比較的シンプルな作業ですが、
安全性を確保するための注意点を押さえておく必要があります。
ここでは、作業前に知っておくべきポイントと、使用した工具を簡単にまとめます。
交換作業をDIYで行う際の注意点
この作業は電気工事士の資格が必要です。
資格を持たない方が行うことは法律で禁止されており、感電や火災の危険もありますので必ず業者に依頼してください。
使用した工具と準備
今回の交換作業で使用した工具は次の通りです。
- プラスドライバー(電動の方が楽)
- マイナスドライバー
- 検電テスター
- 手袋
- 脚立
- 懐中電灯(ブレーカーを落とすと真っ暗な部屋になる場合)
これらを事前に準備し、安全を確保してから作業を始めます。
古い蛍光灯器具の取り外し
こちらが今回取り外す蛍光灯器具です。

ブレーカーを落としてから、古い蛍光灯器具のカバーを外します。

器具本体には、安定器のほか、電源が接続されている端子台が付いています。
念には念を入れて、検電器等で通電していないか確認した上で、端子台から電線を抜く作業を開始します。
私は電線の被覆の上からでも確認出来る、こちらの検電器を使用しています。


電線が接続されている端子台の「押し込み穴」に、マイナスドライバーで軽く押し込むと抜くことが出来るタイプです。
電線を外したら、器具本体を天井に固定しているネジを外して、器具を取り外します。

木目が見える様な天井材が使われている場所に蛍光灯を取り付けてあったため、蛍光灯から出る紫外線にやられて天井の色が退色してしまっていました。
新しいLED照明器具(XLX440DEWURZ9)の取付作業
開梱と照明器具の確認
LEDバーライトは、器具本体とLEDライトバー、それぞれ別梱包されています。

開梱!

器具本体と、LEDライトバーをそれぞれ見ていきましょう!

こちらが、器具本体です。
蛍光灯の場合の器具本体と異なり、安定器などの機器は付いていません。

器具本体は、端子台とコネクターのみが付いています。

LEDライトバー本体の方は、色々な電子部品等が付いているので、少し重たいです。
器具本体の取付け、および結線

電線(VVFケーブル)を通す丸穴のサイズは2種類あり、ブッシングも大きさが大小2つ付いています。
器具本体には、複数の穴が設けられています。天井から出ている電線の位置に合わせて、ちょうど良さそうな穴にブッシングをはめ込んで電線を通し、器具本体を天井に数カ所ネジ止めを行います。

端子台には、LとNの指定があるので、電線もそれに合わせて差し込みます。
アース端子もありますが、天井からの配線でアース線が無かったので省略しました。
説明書によると、上記画像の向かって左側からVVFケーブルが入る様に配線すべきですが、器具を同じ場所に取り付けるには、既存の配線位置に合わせて入線し、画像の様に逆方向からVVFケーブルを入れてぐるりと回すしかありませんでした。
LEDライトバーの取付け
配線が終了したら、LEDライトバーの取付に入ります。

器具本体の溝に、LEDライトバーの金具を引っ掛けます。

器具本体のコネクターを、LEDライトバーに接続します。

LEDライトバ-のキックバネを本体の受け金具に確実に取り付けます。
この取付は、コツが分かるまでが難所です。
キックバネの取付が出来たら、バネの力に気を付けながら、LEDライトバーを器具本体にそっとはめ込みます。
この時、内部の電線を挟み込まないように気を付けながら、ライトバ-を本体内へ押し上げます。

動作確認
ブレーカーをONにして、通電して点灯すればOKです。

点灯状態は光のムラが無く、ライトバー全体が綺麗に明るく点灯します。
このLEDライトバーは、リモコンが使えます。
私が使用しているリモコンは、こちら。


PiPit ハンディライコンは、1台で複数のLEDライトバーの調光が可能で、取付けした製品の場合は10~100%の間で事由に調光することが可能です。
家庭用照明器具のリモコンと異なり、このPiPit ハンディライコンは、赤外線の照射角度範囲は上下左右20度(中心から10度ずつ)に絞られています。

LEDライトバーの受信部▲マークの付いている場所に、リモコンの先端を向けて操作することで、1度に1台ずつ調光が可能です。(他の機器に干渉しないように、赤外線照射範囲が絞られている設計になっています)
まとめ
今回は、事務所の天井に付いていた 40W蛍光灯2灯タイプ(National FA42038) を、パナソニックのLEDベースライト(XLX440DEWURZ9) に交換しました。
作業自体はシンプルですが、電気工事士の資格が必要な作業です。
ブレーカーを落とし、検電器などで必ず無通電を確認し、安全対策を徹底することが重要です。
既存の器具をそのまま活かして「蛍光灯型LEDランプ」に付け替える方法もありますが、今回のように器具ごとLEDベースライトに交換した方が消費電力は約3分の1となり、省エネ効果をしっかり実感できます。
また、古い蛍光灯器具を使い続けるよりも、LED専用器具に入れ替えた方が光の質が快適で、長時間の作業でも目が疲れにくいと感じました。
さらに、リモコン調光タイプを選べば、その時の用途や好みに合わせて明るさを自由に調整できるのも大きなメリットです。
蛍光灯の寿命や今後のランプ供給を考えると、器具ごとのLED交換が一番安心で経済的だと思います。
事務所や店舗で長時間点灯させる照明こそ、早めに器具ごとLED化を検討する価値があります。