エコキュートのお湯切れ対策の方法

私の家では、2012年に購入した東芝製のエコキュート(HWH-FB372WCG)を使用しています。

取り付けした当初から、お湯が少なめだなと感じていました。

しかし2~3年後には子供も大きくなって生活パターンが変わり、毎年冬場には常に足りない状況で、ギリギリまで節約してヒヤヒヤしながら使っています。

具体的には、日中キッチンや洗面所では一切お湯を使わずに、お風呂のみで使用しているにも関わらず、ひどい時にはお風呂のお湯はり100Lを行っただけで、湯量メーターが5→2になってしまう、という状況でした。

私の家は4人家族で、370Lクラスの物を設置してあります。

これまでの状況や経緯と、メーカー修理担当者からのアドバイス、そして湯切れ対策に最も効果があった方法をご紹介します。

 

エコキュートの基本的な仕組み

電気代の安い夜間の電気を使い、エアコンの室外機と同様の熱交換器を使って、空気中の熱を利用してお湯を沸かすのが、エコキュートです。

沸かしたお湯はタンクに貯められるので、「貯湯式給湯器」の仲間です。

タンクの容量は、家族構成により推奨サイズがあり、一般的には

320Lクラス:2~3人
370Lクラス:3~5人
460Lクラス:4~7人

とされています。

このお湯を使い切ってしまうと、お湯切れが起こります。

「通常使用でお湯切れが発生することはありません」

というのが、メーカーや業者が行う一般的な説明です。

でも私の家では、実際にお湯が足りなくなるのです!

お湯が足りなくなる原因

お湯が足りなくなる原因は、色々あると思います。

  • 貯湯タンクの容量に対して、使用量が多い
  • 深夜の時間帯にお湯を多く利用する
  • 普段使っているパターンから外れて多くのお湯を使った

一般的には、この様な内容について言われていると思います。

しかし、使っていて私が感じている事は、これだけではありません。

  • 学習機能が余計なお世話をして、朝までの湧き上げ量が少ない
  • 貯湯タンクが薄型の場合、外気温が低い日は夜までにお湯が冷めやすい
  • 室外機で暖められたお湯が、配管を通って貯湯タンクに入るまでの間に冷めてしまう
  • お湯使用時に給水される水温が低い日は、貯湯タンク内のお湯が冷めやすい

私の主観が入っていますが、以上の内容を付け加えておきたいと思います。

 

お湯が足りない時のシステムの状況

設置当初より、「おまかせ」モードから「おおめ」モードで運転していても足りない時が多々ありました。

設置した業者に相談したところ、「固定運転モードにしてみましょう」という事になりました。
※固定運転モードとは、お湯の温度を指定して沸かすモードです。

エコキュート固定運転モード

多少は改善された気がするな~という程度だったのですが、2~3年して生活パターンが変わると、完全に足りなくなってしまいました。

そこで、どの様な状況で足りないのか、具体的な数字で確認をしてみることにしました。

給湯可能量

次からの画像は、ある日の19時半頃、お風呂のお湯はり直前の状況です。

エコキュートの給湯可能量

洗面所やキッチンでお湯を全く使っていないので、お湯はり前の時点で使用量は0リットルです。

貯湯タンクは370リットルありますが、本来はタンク内のお湯の温度が高いので、45℃に換算しても550~600リットル位の量はあっても良いはずです。

しかし、貯湯タンク内のお湯の温度が低いので、45℃での給湯可能量が388リットルと、少なく表示されています。

では、実際のタンクの温度を確認してみましょう!

タンクの温度

お風呂のお湯はり直前のタンク内の温度です。

エコキュートのタンク内の温度

赤枠部分に、貯湯タンクの上部から下部までの温度が表示されています。

これらのセンサー温度から計算により、給湯可能量や残湯量メーターは、予測で表示されています。

貯湯タンク内全体で温度が低く、どこを見ても50~60℃程度しかありません。

朝から洗面所やキッチンでは一切お湯を使っていないのに、この状況です。

夏場なら、この湯温でも十分過ぎるほどですが、真冬は全く足りません。

沸き上げ温度

エコキュートの湧上げ温度

沸き上げ温度は76℃と低く、しっかり湧き上がっていない感じです。(5~6日前は、もっと低い沸き上げ温度ですね)

沸き上げ運転時間

動く時間帯は、23時~翌朝7時迄の8時間の間ですので、最大で8時間動いていれば、給湯能力の限界と考えられます。

しっかり8時間動いていたのでしょうか?

エコキュートの運転時間

最大8時間動くはずのところ、6時間しか動いていませんでした。

沸ききらない原因は、稼働時間が少ない事もありそうです。

因みに、右隣の列の「昼間運転」は、夜間以外の時間帯に、運転をした時間が表示されています。
まだ入浴していない人がいるのに、残り湯が100リットルを切ってしまう状況なので、手動で追加して沸かしていました。

※普通は見ることの出来ないエコキュートの画面が含まれています。
「メニュー」ボタンに触れながら次の呪文をゆっくり唱えてみて、願いが通じれば見られるかもしれません。
「エコキュートさま、毎日暖かいお湯を作ってくれてありがとう! 暖かいお風呂に入れて毎日幸せです! 私は全て順調に進んでいます! ・・・」 
願いが通じ損なうと、無視されるか鍵がかかって動かなくなるのでご注意下さい!

沸き上げ運転時間帯

沸き上げ運転の開始時間が遅いことが原因で、6時間しか動いていなかったのかどうかを確認してみました。

太陽光発電システムを付けた際に、HEMSという電気の見える化するシステムが付けてあります。

そのHEMSでエコキュートの動作時間帯が確認できます。

エコキュートの動作時間をHEMSで確認

作動開始は23時台、明け方5時台には停止してしまっていることが確認できました。

これらの結果から、お湯が湧き上がっていないのに、何故早い時間に止まってしまうのか?

という疑問が生じます。

沸き上げ量の再学習

エコキュートには、頭の悪い学習機能がついています。

日常のお湯の使用量を学習して、無駄が無い様に夜間に沸き上げを行うのですが、変な学習をして動作がおかしい場合も考えられます。

ということで、「沸き上げ量を再学習させる」を設定して様子を見ましたが、変化は全くありませんでした。

 

機器の故障を疑い、修理依頼

電気製品の故障は、明らかに動かない時を除いて、故障と判定されない事がよくあります。

この事例もそうで、動いているので故障と認められない可能性が高い。
という事もありますが、そもそも故障していないのに、忙しい修理のエンジニアを呼んでは申し訳ない!

そう考えて、念入りに様々な状況をチェックして、やっぱりおかしい!と確信を持つまで、修理を呼ばずに粘りました。

故障を疑ったキッカケ

上記の画面を毎日の様にチェックしていたある日、故障を疑う数字が表示されました。

それがこちら。

エコキュートの沸上げ温度が低い

90℃の固定運転をしていて69℃とは..。

他の日に比べても、明らかに温度が低過ぎです。

この日もタンクの湯温は全体に低く、全く足りない状況でした。

「異常履歴」の表示は出ていませんでしたが、故障の疑いが濃厚だと思い、修理センターに相談して来てもらいました。

見てもらった結果

修理の方に、これまでの状況を説明し、見てもらいました。

30分程でチェックが終わり、その結果は、

機器の故障は見当たりません! 正常です!!

はぁ?

実際にお湯が湧き上がっていないし、お湯が足りなくて困っているのに、何故??

どーにかしてよ!!

食いついて色々聞いたり訴えたりして泣きつきましたが、冷たくあしらわれました。

しかも、頭の悪い学習機能を停止させる機能は無い、とのことで、システムにユーザーが合わて生活するしかないという事になりました。

10年保証に加入していましたが、故障では無いのに修理を呼んだということで、出張費として5,184円の請求書が送られて来ました。

エンジニアの人が言うには、ヒートポンプユニットが故障した場合には、お湯の温度がもっともっと低くなるそうで、この程度の温度が出ていれば故障には該当しないそうです。

同じ失敗をしないよう、皆様ご注意下さい!

修理担当者から聞いた対処方法

東芝の修理担当者から、次のアドバイスをされました。

  1. 「追い炊き」はしない
  2. 「自動保温」は使わない
  3. 「沸き増し」はしない
  4. 家族全員まとめて短時間の間に入浴する

1の「追い炊き」と、2の「自動保温」は、お風呂の冷めたお湯を、貯湯タンク内に循環させて暖めてから戻すので、循環させる分だけ能率が悪いそうです。
お風呂のお湯を温めたい時は、湯船のお湯を少し抜いて「たし湯」をした方が良いとのことです。

3の「沸き増し」を行うと、学習機能に悪影響が出てしまい、翌日に沸き上がらない可能性があるとの事でした。

4は、当然のことですね!

 

以上の指摘を受けましたが、2の「自動保温」は最初から使っていなかったですし、1の「追い炊き」は残湯量が無いので、そもそも使っていません。

それなのに、3の「沸き増し」はしてはいけないと、あまりにも無茶苦茶な事を言われて、

お湯が足りないのに沸き増しをしてはいけないとは、どーいうことよ!!

と思って納得が出来なかったのですが、故障ではなく元々の仕様だと言われてしまったので、お手上げです。

 

使えない機能なら、そんな機能を付加して説明書に記載しないでよ!

と思いつつ、とりあえず必死に4項目を守って、現在に至っています。

しかし、お湯が足りない状況は全く変わりません。

 

湯切れ対策に最も効果があった方法は、配管の断熱

このページを見にいらした方が、最も知りたい内容ではないかと思います。

その方法とは、配管の断熱 です。

今回の事例での根本的な対処にはなりませんが、とても効果がありましたのでご紹介します。

配管の断熱を行う場所

冬場の寒い外気により、少しでも配管が冷えない様に、断熱材を巻きました。

その場所は、こちらです。

エコキュートの配管について

※マニュアル掲載の画像を元に、説明に必要な部分のみに加工してあります

赤枠で囲ってある部分の配管、全部で6本です。

断熱材を巻く前の実際の状況は、こちらです。

エコキュートの実際の配管

元々の配管に保温材は巻かれてはいるのですが、厚みが薄いので保温効果があまり無く、すぐに冷えてしまいそうな感じでした。

ヒートポンプ配管は、貯湯ユニット内の冷水がヒートポンプに流れ込む配管と、ヒートポンプから出てきたお湯を貯湯ユニット戻す配管です。ここに断熱材を巻くことで、貯湯ユニットに戻るまでにお湯が冷めてしまうのを防げます。

浴槽配管は、お湯はりおよび追い炊きの時にお湯が流れる配管です。ここに断熱材を巻くことで、お湯はり時の水温上昇および追い炊き時の熱効率の改善が見込めます。

給水・温水配管は、お湯使用時に貯湯ユニットに流れる冷水と、貯湯ユニットからシャワーなどに流れるお湯の配管です。ここに断熱材を巻くことで、貯湯ユニットへ流れ込む水道水がより冷たくなってしまうのを防ぎ、シャワー等に利用するお湯の水温上昇が見込めます。

断熱を行うことで、お湯の使用量が減って湯切れを防ぎ、電気代の節約に繋がる効果が期待できます。

用意する断熱材と保護テープ

今回、巻いて効果のあった断熱材がこちら。

断熱パイプカバー

近くのホームセンターで、1本2mで149円(税抜)で販売されていたので、私は4本買いました。

太さが3種類あったので、内径20mmの一番太い物を選びましたが、既設の断熱材付き配管の上に巻くので、太さが足りなかったです。内径30~35mm位は欲しいところでした。

ネットでは、次の物あたりが同種の商品だと思います。

私がホームセンターで買った物が無名の安物だっただけかもしれませんが、ネットはかなり高いので、お近くのホームセンターで探された方が良いかもしれません。

この他に、断熱材が外れない様に保護するために巻くテープと、固定する時に使う同じアイボリー色のビニールテープを用意しました。

保護テープとビニールテープ

私が買った物とはメーカーが異なりますが、ネットではこの辺の商品です。

既設の配管に巻くので、非粘着タイプの方が巻きやすいですが、巻き終わりはビニールテープで固定するなどの処置が必要になります。

ビニールテープは固定できれば良いだけなので何色でも良いのですが、同じアイボリー系ですと、ネットではこちらの商品です。

保護材を巻く様子

これらを使って、既設の配管の上に、断熱パイプカバーを被せ、その上から非粘着タイプの保護テープを巻いていきます。

断熱パイプカバーに保護テープを巻いていく

巻く時には、下から上に向かって、少し重ねる様に巻いて行きます。

下から上に向かって巻いた方が、少しでも雨水の侵入を防げて、万が一雨水が入ってしまっても排出もしやすくなると思います。

完成後の様子

断熱パイプカバーを巻いた後の様子

とても太くなってしまうので、見た目はあまり良くないかもしれませんね~。

断熱材を巻いた結果

結論から言うと、湯切れを心配する日が減り、電気代の節約になりました。

貯湯ユニットからの配管が長いお家の方ほど、断熱材を巻くと効果が実感出来ると思うのでオススメします。

 

感じた効果を列挙してみます。

  • 蛇口を捻ってから、お湯が出てくるまでの時間が短くなった
  • シャワーの湯温が上がった
    (具体的には給湯温度の設定を1℃下げてもOK)
  • 追い炊き時に出てくるお湯の温度が上がった
    (おそらく「お湯はり」や「たし湯」の時も温度が上がっている)

断熱材を追加で巻いただけですが、この様な違いを実感しています。

お湯の使用量は減っている様で、外気温が低い日も以前の様に不安になることが減りました。

おそらく、ヒートポンプユニットから貯湯ユニットへ流れ込むお湯の温度も上昇しているはずです。

貯湯ユニットの具体的な温度上昇については、断熱材を巻く前と後とで全く同一条件を作ることが出来ないので、確認は出来ていません。

頭の悪い学習機能付きコンピューターが余計なお世話をしていなければ、温度が上昇しているでしょう。余計な制御が働いてしまっている様であれば、電気代の節約に繋がっていると思われます。