古いアマチュア無線機を、2022年12月1日以降も継続して使い続けるために必要な、スプリアス確認保証。
私自身、実際に手続きを行うまで、よく分からない事が色々とあったので、まとめてみました。
「スプリアス確認保証」何それ?と思った方、まだ手続きをしていないですよね?
私が気付いたのも、免許の有効期限の3ヶ月前。
JARDに入会している方はお知らせが届いて知っている方も多いと思いますが、たま~にしか無線をやらない人は、何のこっちゃ?となるワケです。
古い無線機(旧スプリアス規格)での運用は、2022年11月30日迄です。(平成17年総務省令119号)
でも、メーカー測定により、新スプリアス規格適合が確認されている機器であれば、簡単な手続きで古い無線機を使い続けることも、開局することも出来ます。
古いアマチュア無線機で免許の更新をされる方は、早めに手続きを行いましょう!
目次
免許の継続は、新スプリアス規格対応が必須
2022年12月1日以降は、新スプリアス規格に対応した無線機のみ、使用することができます。
旧スプリアス規格の無線機でアマチュア無線局の免許を取得している場合には、2022年11月30日迄の期間限定免許になり、12月1日以降は使用出来ない旨の記載がされています。
<旧スプリアス規格の無線機で更新した際に届いた無線局免許状>
免許状が届いても、内容をよく確認していないと気が付かないと思います。
手持ちの免許状を確認してみた方が良いでしょう。
そもそも「スプリアス」ってなに?
無線機から電波を送信するとき、本来の通信に使う部分以外の不必要な電波(高調波・低調波など)が出ています。
必要周波数帯の外側に発射される不要な電波のことを「スプリアス発射」としています。(詳細情報|用語情報)
スプリアス発射は、他の周波数帯を使っている通信機器への妨害になり、TVやラジオの受信障害などを起こす電波障害の原因になるため、電波法等でその強度に制限が設けられています。
世界無線通信会議(WRC)にて、無線設備のスプリアス発射の強度の許容値に関する無線通信規則(RR:Radio Regulations)の改正が行われました。
この改正を受けて、国内では平成17年12月1日に無線設備規則(昭和25年電波監理委員会規則第18号)が改正されました。
2005年12月1日から新たな許容値が適用されており、これが新スプリアス規格です。
(参考:スプリアス発射の強度の許容値に係る技術基準の改正内容)
経過措置として、2022年11月30日まで旧許容値の適用が可能となっています。
古い無線機でも、「スプリアス発射」が新スプリアス規格に収まっている事が確認されている無線機であれば、保証を受けることで使い続けることが出来ます。
旧無線機は使えない? 新スプリアス対応の4つの方法
新スプリアス規格へ対応するには、新しい無線機に買い換えるのが一番簡単です。
しかし、旧スプリアス規格で認定を受けている古い無線機でも、近年販売されている無線機は、性能的には新スプリアス規格に対応している無線機が殆どではないかと思います。
旧スプリアス規格の無線機を、今後も使い続ける方法は4つあります。
- 送信機出力端子と空中線との間にフィルターを挿入し、測定データを提出する
- 無線機器のスプリアスを測定し、測定データ等を提出する
- 製造業者等が測定したデータを活用する
- 「スプリアス確認保証」を活用する(アマチュア局のみ)
技術基準適合証明を受けている市販の無線機の場合は、「スプリアス確認保証」(新規開局や旧機器の増設・取替の場合は「基本保証」)を活用するのが一番簡単です。
「スプリアス確認保証」を受けられない、自作の無線機や古い無線機を使い続けたい場合は、測定データを提出する必要があります。古い無線機、私はずっと使ってないので諦めて撤去する事にしましたが、使い続けたい方は、JARD測定器室の解放(一般利用サービス)が行われていますので、こちらを利用すると良いでしょう!
「スプリアス確認保証」を利用できる無線機とは?
旧スプリアス規格のアマチュア無線機で、JARDに掲載されている「スプリアス確認保証可能機器リスト」に掲載されている無線機が対象です。
「スプリアス確認保証」の手続きを行うことで、2022年12月1日以降も無線機を使い続けることが出来るようになります。
この手続きは、無線局ごとに受ける必要があります。家族と共用している場合でも、それぞれの局で申請が必要です。
JARDの手続きには、「スプリアス確認保証」と「基本保証」の2つがあります。
スプリアス確認保証
「スプリアス確認保証」は、すでに免許を受けている無線機のスプリアス規格を「旧規格」から「新規格」に切り替えるものです。
再免許申請の際に行う手続きが、「スプリアス確認保証」です。
料金は、基本料(1台分の保証料含む)が2,600円、2台目以降は1台につき1,000円です。
基本保証
「基本保証」は、開局申請や旧機器の増設・取替の場合に行う手続きです。「スプリアス確認保証可能機器リスト」に掲載されている無線機であれば、新スプリアス対応機として手続きをおこなうことが出来ます。
基本保証には、開設保証と変更保証の2つの手続きがあります。(詳細)
免許の更新を失念する等で免許が切れてしまった場合は、開局申請での手続きになるので「開設保証」による手続きを行います。
料金は、基本料(1台分の保証料含む)が4,100円、2台目以降は1台につき1,000円です。
開局申請手数料も基本保証料も、どちらも料金が高くなってしまうので、免許更新の失念には十分注意が必要ですね!
所有無線機の「新」「旧」が不明な場合の調べ方
所有しているアマチュア無線機が、新・旧どちらのスプリアス規格か不明の場合は、総務省の電波利用ホームページで確認することができます。
「番号」欄に技術基準適合証明の番号を入れて検索すると、その無線機のスプリアス規定が「新規定」か「旧規定」かについて調べることが出来ます。
【例】:私の持っている無線機、FT-857Sの場合、番号欄に技術基準適合証明番号の「002KN351」と入れると、「旧規定」と出てきます。
「型式又は名称」の欄に無線機の型番を入れると、その型番の無線機で登録された情報が全て出てきますので、購入日が分かれば技術基準適合証明の番号を調べることも出来ます。
無線機の型番から検索すると、「新規定」の「技術基準適合証明の番号」も見えてしまいました。
それなら、新規定の技術基準適合証明の番号を書いて免許取得すれば良いんじゃない?
という疑問が出てくると思いますが、それはダメです。
皆さんは有資格者ですから、そういう不正は止めましょう!
再免許申請とスプリアス確認保証の手続き
再免許申請と、スプリアス確認保証の手続きは、全く別なので、同時に行うことは出来ません。
先にスプリアス確認保証の手続きを完了させてから、再免許申請を行うのがおすすめです。
再免許申請から行ってしまうと、免許状の備考欄に期間限定の文言が入った免許状になってしまうので、新スプリア確認保証の手続きを行った後に、改めて備考欄の文言が消えた無線局免許状を再交付してもらわなければいけなくなってしまいます。
アマチュア無線の再免許申請は、有効期間満了の1年前から1ヶ月前までとされています。
JARDが行うスプリアス確認保証の手続きは、JARDでの審査を終えたものを2週間に1回の割合で、管轄する総合通信局に提出しているとのことです。
早くて2週間位かかるので、免許期限が残り2ヶ月を切っているような場合は、間に合わない可能性が考えられるので、その場合は再免許申請後にスプリアス確認保証の申込を行った方が良いでしょう。
因みに私はWebで申し込みを行ったのですが、12日後には書類が郵送されてきました。
スプリアス確認保証の申込方法
スプリアス確認保証の申込方法は、3つあります。
詳しい手順や書き方は、JARDのページに記載されています。
このページをご覧になられている方なら、Webによる申し込みが出来ると思いますので、早くて簡単なWebによる申込をオススメします。
申し込み後、指定された口座に振り込むだけなので、Webバンキングを使える方なら深夜でも手続きが完了できます。
申込をすると、次の書類が送られて来ます。
所管の総合通信局(又は沖縄総合通信事務所)への手続きが完了した旨の通知書です。
この通知書が届いたら、再免許申請が行えます。
届いた書類の中に「スプリアス確認保証シール」が同封されていました。
この保証シールは、2018年9月から発行を開始したそうです。
添付は義務ではないそうですが、ちゃんと手続きした事が分かる様に貼っておけば、なんとなく安心できますね!
再免許申請
「スプリアス確認保証通知書」が送られてきたら、再免許申請を行います。
申請手続きの際は、スプリアス確認保証通知書に記載の「確認保証番号」等は一切書く必要がありません。
総務省で把握済みのため、通常と同じ手続きで再免許申請を行えば、新スプリアス規格対応された免許になります。
再免許申請の方法は、書面による申請と、電子申請があります。
- 書面による申請①:再免許申請書一式を、近所のハムショップまたはJARLで購入する
- 書面による申請②:再免許申請書を、ダウンロードする
- 電子申請:総務省 電子申請・届出システムから申請する
電子申請の方が安いので、オススメです。
申請手数料は、書面の場合3,050円、電子申請の場合1,950円です。
参考: