トヨタの新型VOXY(ヴォクシー:2022年1月販売開始モデル)に、DIYでドライブレコーダーを取り付けてみました。
作業の手順や方法と、コツや注意点、使用した道具などを詳しく解説します。
グレードはハイブリッドS-Z、型式は 6AA-ZWR90W です。
取り付けたドライブレコーダーは、コムテックのZDR036。
前方カメラ、後方カメラ、モニター付きの本体、と別々になっているセパレートタイプモデルです。
前方カメラが本体と一体型タイプを取り付ける方も、配線時の参考になると思います。
目次
取り付けたドライブレコーダー
今回購入したドライブレコーダーは、COMTECのZDR036という機種です。
前方と後方のカメラがそれぞれ1台ずつの他に、液晶モニター付きの本体が1台あるセパレートタイプになっています。
前方のカメラは、運転手の視界の妨げにならないように、助手席側のルームミラーの裏側付近に付けることが多いと思います。
前方カメラと本体が一体型のタイプの場合、運転席側から映像の確認がしにくいですが、ZDR036は液晶モニター付き本体を運転席のダッシュボードの前に設置することが出来るので、目の前で操作して映像を確認することができます。
初期設定では、走り始めると液晶画面が消えるようになっているので、夜間でも液晶画面が眩しいということはありません。
取付方法と手順やコツ
取付け作業の順番に決まりは無いので、人によって様々だと思います。
私は、まずカメラの位置決めをしてから作業に入りたかったので、次のような手順になりました。
カメラの位置決めのために仮に通電して、前または後ろの映像が見られるようにしながら、カメラを両面テープで固定する所から始めました。
前方のカメラを取り付ける
前方のカメラは、保安基準によって取り付け可能な位置が定められています。
上の図は、コムテックの取扱説明書からの引用です。
ディーラーの技術の方に確認したところ「窓の上部から20%以内の取付」とは、「本体取り付けステー(粘着テープ)」の位置とのことです。
最近の車は、ルームミラーの裏側に前方を監視するセンサーやカメラがあるので、ノイズの影響を受けないように、その周囲から10cmくらい離して取付けるように、とのことでした。
さらに、運転席から見て視界の妨げにならない場所で、雨天時に備えてカメラがワイパーの可動範囲に入る位置に取り付けることになります。
これらの条件を満たす場所は、ルームミラーの裏側のかなり限られたエリアになると思います。
取付けステーに両面テープを貼り付けて、映像を確認しながら水平になるように、両面テープに気泡が入らないように取り付けを行います。
後方のカメラを取り付ける
後方のカメラは、窓ガラスの上方かつ中央で、ワイパーが付いている車両の場合には、ワイパー可動範囲内に取り付けを行います。
この時、曇り取りなどの線が入っている窓ガラスの場合は、映像にその線が入らない位置に取り付けた方が良いと思います。
私が付けたこの位置、実は画像の下に線が映り込んでしまう場所でした。
さらに、しばらく経ってから気付いたのですが、ワイパーで水が捌けない位置でした。
取付位置は、もう少し調整した方が良さそうです。
本体を取り付ける
ZDR036の液晶モニター付き本体は、配線のルートも考えながら、運転席の前など操作がしやすそうな場所に取付けを行います。
私が取り付けた場所は、こちら。
取付完了後に撮影したので、配線済みの画像です。
理想としては、線の露出を極力少なくしたかったのですが、穴を開けたくなかったので諦めました。
当初は、運転席から見て向かって右側から配線しようとしたのですが、前方カメラの映像ケーブルが4mでは足らず、この様に配線しました。
結果として、運転手からはモニター本体の陰になって、ケーブルが全く見えませんでした。
配線ルートを決める
私は次のようなルートで配線を通すことにしました。
前方カメラケーブルの配線ルート
後方カメラケーブルの配線ルート
電源ケーブルの配線ルート
前方カメラ用、映像ケーブルの配線
前方カメラに取り付けたケーブルは、窓ガラスと天井カバーの隙間に線を入れて、フロントピラーの中を通して線を下ろしていきます。
①ウェザストリップを外す
まず最初にドアの枠に付いてる防水用のゴム「ウェザストリップ」を、一部分だけ少し外します。
手でつまんで、引っ張れば外れますが、少し力が必要です。
②フロントピラー ガーニッシュASSYを外す
「フロントピラー ガーニッシュASSY」というプラスチックのパーツを外します。
上の方の隙間に指をかけるなどして、引っ張って外します。
注意点があります。
写真の状態まで外したら、画像赤丸部分のパーツが残っているので、これ以上引っ張っても外れません。
上の画像赤丸部分2カ所(奥側が見えていませんが、手前と同じ構造です)ボタンの様になっており、この部分を同時に押し込みながら引くと外すことができます。
手が入る方は、手でつまめば良いですが、難しい場合はラジオペンチなどの先の細い道具でつまんで外します。
このパーツが外れたら、「フロントピラー ガーニッシュASSY」全体を斜め上方向に引き抜くような感じで外すことができます。
※このパーツは「フロントピラー ガーニッシュASSY」側に固定されている方を捻ることでも外すことが出来るようです。
外した物がこちら。
他にも3カ所、赤丸部分に固定するパーツがついていますので、参考にして下さい。
③フロントピラーガーニッシュ LWR を外す
「フロントピラーガーニッシュ LWR」というプラスチックのパースを外します。
赤枠のパーツです。
隙間に指を差し込んで、上に引き上げれば外れます。
④前方カメラの映像ケーブルを配線する
前方カメラ本体のコネクターに差し込み、フロントガラスと天井の隙間にケーブルを差し込みます。
上の画像では、線が見えていますが、しっかり押し込めば見えなくなります。
ここまで出来たら、後部カメラの配線と一緒に通すので、続きは後で。
後方カメラ用、映像ケーブルの配線
①助手席ドアの天井から通線を開始する
後方カメラの配線は、助手席の次の画像の場所から、前方向と後ろ方向に通し始めるのが良いかなと思います。
天井を軽くめくると、中にサイドエアバッグが入っているのが見えます。
サイドエアバッグが開く時に、ケーブルが邪魔しないように、サイドエアバッグの奥側にケーブルが通るようにした方が良いでしょう。
マニュアルによると、以下の画像のピンク色の部分に、サイドエアバッグが内蔵されています。
エアバッグに傷を付けないように、慎重に作業をする必要がありそうです。
②センターピラーの裏側に線を通す
センターピラーの部分の裏側に線を通していきますので、助手席と後部座席のウェザストリップを少し外します。
次に、通線用の針金を通します。
輪の方に映像ケーブルを引っ掛けて、センターピラーの後ろ側へ引っ張って通します。
映像ケーブルの端子部分が通過して後ろ側に出たら、先端の端子部分が後部カメラまで届く長さまでケーブルを引っ張って、センターピラー部分を通過させておきます。
③バックドアのウェザストリップを外す
バックドアを開けて、左上部分のウェザストリップを少し外します。
この角から通線用の針金が出てくるようにするため、予め準備をしておきます。
④天井の内張を外す
バックドア側の天井の内張りを外すために、下の画像赤丸印のパーツを外します。
このバーツをよく見ると、小さなスリットが入っている部分がありますので、マイナスドライバーなど、先の細い物を隙間に入れて、内部に刺さっているピンを引っ張って外します。
このピンを外した画像はこちらですので、参考にして下さい。
内部のピンが押し込まれることで、内部が開く構造になっていますので、ピンを少し抜くことでロックが解除されます。
⑤リアピラーを外す
通線様の針金を通すために隙間が必要なので、リアピラーの上の方だけ少し外します。
手前に引っ張れば外れます。
リアピラーを外したら、バックドアの隙間に向けて、隙間から通線工具を通します。
バックドア側のパネルも少し外した方が良さそうです。
こちらも引っ張れば外れます。
通線用針金が出てきたら、リアピラー側の通線用針金の輪に映像ケーブルを引っ掛けて、バックドア側へ引っ張ってきます。
この時、映像ケーブルのコネクターが中で引っかかりやすいので、エアバッグ等を傷付けたりしないように慎重に!
映像ケーブルが出てきたら、天井とバックドアを繋いでいるゴムの管付近まで、天井の隙間にケーブルを押し込んでいきます。
配線用のゴムの管を外します。
右側の赤丸部分は、引っ張れば外せます。
左側の赤丸部分は、外すと中にプラスチックの留め具が見えてきます。
留め具には、画像赤丸部分とその裏側の同じ位置に全部で4カ所、爪がついています。マイナスドライバーなど先の細い物で押して外します。
留め具の中に映像ケーブルを通したら、次はゴム管の中を通過させるのですが、滑りが悪く引っかかりやすいので、管の中にシリコンスプレーを吹きかけました。
使用したシリコンスプレーは、こちら。
ゴムやプラスチックに使っても大丈夫です。
配管に配線するための線用の商品もありますが、持っていれば色々な用途で使えるこちらシリコンスプレーで十分だと思います。
付属のノズルを付けてゴム管内にスプレーしたら、通線用の針金を通します。
通線用の針金の輪に、ケーブルを通して引っ張り...
ゴム管内に通っている細い線の隙間に、映像プラグが引っかからないように気を付けながら、ケーブルを通します。
続いて、バックドアに付いている化粧パネルを外します。
ガラス側の方に工具を差し込み、手前方向に引っ張って外します。
外す際に使用したのは、エーモンの内張剥がし用の、こちらの工具です。
ガラス面の側の隙間から、何カ所か引っかけて少しずつ外して行きます。
留め具が付いている場所は、こちら。
全部で5ヶ所留まっています。
化粧パネルを外すと、バックドアの中身はこんな感じになっています。
先程外した、ボディー側のゴム管の接続部分を元に戻します。
緑色のパーツを、画像のようにゴムの中に入れてから、ボディー側に差し込んで固定します。
バックドア側の穴にケーブルを通したら、ゴム管のパッキン部分を穴の中に押し込んで元の状態に戻します。
ゴム管内にシリコンスプレーを吹きかけたので、プラグが通過した際にシリコンまみれになっていますので、掃除した方が良いです。
電子機器クリーナーを使い、プラグに付着したシリコンを取り除きます。
呉工業の「エレクトロニック クリーナー」などでもOKです。
バックドア内部に映像ケープルを通し、カメラに接続します。
バックドアの化粧パネルを元に戻したら、バックカメラの配線は完了です。
電源と映像ケーブルの配線と本体への接続
前方および後方のカメラの取付と、映像ケーブルの配線を途中まで行いました。
ここからは、それれら2本の映像ケーブルの本体へ接続と、本体に接続した電源ケーブルの配線を行います。
配線のルートは、こちらの色で示した場所を通します。
緑色と青色の線は、前方と後方の映像ケーブルで、赤色の線は電源ケーブルです。
実際に配線すると、以下の感じになります。
天井からぶら下がっている2本の映像ケーブルは、ピラーに配線されている既存のケーブルの束に拘束バンドを使って固定しながら下ろしていきます。
固定を終えたら、これら2本の映像ケーブルを本体に接続します。
本体に電源ケーブルを接続します。
これら3本のケーブルを合わせて下の画像のように、窓ガラスとの隙間に挿し込んでいきます。
余ったケーブルは、下の画像の赤丸部分の辺りで束ねておくと良さそうです。
電源ケーブルは、赤矢印の部分に隙間があるので、ここから足下に下ろします。
電源ケーブルの長さは少しゆとりがあるので、助手席の足下の邪魔にならない場所を通して、車両本体のシガーソケットに接続しても使えます。
ここまでの作業でドライブレコーダーは使用可能です。
剥がしたパネル類を戻せば、作業完了です。
しかーし、裏から電源を取りたい!!
という方は、次でご紹介する、電源の取り出し作業を行っていきましょう。
電源の取り出し
今回購入したドライブレコーダー COMTECのZDR036 の電源には、シガープラグが付いています。
車のシガー電源ソケットに挿し込めば、そのまま使えます。
車両本体のシガー電源ソケットは使いたくない!
見えない裏から電源を取りたい!!
という方は、助手席の足下から電源を取り出します。
電源の取り出しには、車の本体に付いているオプションカプラーに接続する、「電源取り出しハーネス」という物を使うと、作業がとても簡単です。
記事が長くなってしまいましたで、別の記事で詳しく紹介することにしました。
こちらの記事をご覧下さい。
用意した物
今回取り付けるために、用意した物です。
ドライブレコーダー本体
コムテック ZDR036
電源接続用シガーソケット
プラグ抜け防止機構搭載のシガー電源ソケットです。
コムテック製で、5A以下の機器でしたら、ドライブレコーダーやレーダー探知機などに使えます。
電源取り出し オプションカプラー
90系 ノア・ヴォクシー用のオプションカプラーです。
このオプションカプラーがあると、4種類の線(常時電源、イグニッション電源、アクセサリー電源、マイナスのアース線)が、簡単かつ同時に取り出しが出来るので、とても便利です。
電源の取り出しのみのタイプと、取り出しつつ分岐もできるタイプの2種類があります。
ご自身の車が80系であるか90系であるかなど、よく確認してからのご購入をオススメ致します。
内張剥がし
エーモン工業の「内張りはがし」セット(6種類+収納ケース付き)です。
プラスチック製ですが、高強度グラスファイバー入りなので丈夫です。
このセットがあれば、ほぼ困ることは無いと思います。
通線用の針金(配線ガイド)
エーモン工業の「配線ガイド」
硬めの針金にコーティングが施されている感じの物です。
針金で代用出来なくもないですが、配線の隙間やエアバッグ等大切な装置が入っている隙間を通すので、周囲にキズを付けない様なコーティングと絶縁処理がされている物の方が良いです。
この商品の長さは1mですが、VOXYでギリギリ届いた感じですので、VOXYより大きな車はもっと長い方が良いかもしれません。
その他に用意した物
- シリコンスプレー
- 圧着スリーブ
- 圧着工具
- 熱収縮チューブ
- ガスごて
- 拘束バンド
- テスター
- ニッパー
- 接点クリーナ
おわりに
ドライブレコーダーの取付方法を詳細に解説してみましたが、如何だったでしょうか。
細かく解説したので長い記事になりましたが、やる事はたったの3つ。
- 窓ガラスにカメラを貼り付ける
- シガーソケットに電源を挿す
- 線を接続する
これだけなので、見栄えを気にしなければ誰でも簡単に出来ます!!
線がなるべく露出しないように配線しようとすると、それなりに時間と手間がかかりますし、道具が必要になります。
手間がかかるのは、
- カメラの取り付け位置を確認して取り付ける作業
- 足元のヒューズボックス付近から電源を取る作業
- 狭い隙間に線を通す通線作業
これらは多くの工数ががかかる作業だけに、ディーラー等で取付依頼をすると、結構いい値段を請求されます。
今回は新車に取り付けようとしたので、ディーラーにお願いしたところ、取付工賃込みで8万4千円程。
同じ商品がAmazonに3万円弱で売っていたので、悩んだ末に自分でチャレンジすることにしました。
本体代だけを考えたら、5万5千円近く浮く計算でした。
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